米FRB債券購入縮小で投げ売り招く恐れ

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米FRB債券購入縮小で投げ売り招く恐れ

[2017年6月14日]

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米国が利上げサイクルに入っているのは既成事実となっており、マーケットの関心は利上げペースがどれほどの速さか、という点にある。量的緩和の停止と利上げは、金融緊縮の過程におけるたった2ステップであり、FRBが今後実施すべき項目に、バランスシート規模の大幅な縮小も控えている。量的緩和第1~3弾の期間において、FRBは大量の債券を買い入れ、バランスシートの規模が大幅に膨らむこととなった。マーケットの流動性を元に戻すため、FRBは保有債券を減らす必要があるが、どのように減らしてゆくのか、いまだにその方法は発表されていない。保有債券を減らすことは金融市場に変動を引き起こす可能性がある。そのため、正式に債券を減少させる前に、FRBは確実に周到なプランを準備しておかなくてはならない。

FRBの慣例では、政策を進める前に、先ず当局からマーケットに「風を送り」、なるべく早期にマーケットに予想を形成させている。この流れによって、保有債券減少の政策実行の際に起こる変動を緩和させるのだ。FRBはここ数ヶ月、バランスシート縮小のニュースを流しており、マーケットに素早く予想を形成させ、各方面で十分な準備が整うことを明らかに望んでいる。いつ保有債券の減少を開始するのかは今のところ未知数である。より確実なこととして、マーケットと共通認識を持つ前に、FRBが急いで実行に踏み切ることはないと言えよう。

保有債券の減少は、金融引締めのプロセスにおいて、必ず通るステップである。遅かれ早かれ、FRBが保有債券を減少させることは明らかなため、現在債券を保有する投資家がFRBの行動前に債券を売却するかどうかという点は、注目に値する。もし、FRBによる保有債券減少によって、この先の債券価格が圧力を受ける可能性について債券投資家が懸念する場合、彼らはできるだけ早急に保有債券を投げ売ることを選択するかもしれない。それがもし短期間で大量の債券売却となれば、債券市場は不安定となろう。債券価格が圧力を受ければ、債券利回りも上昇するはずだ。そうなれば株式市場と経済にも影響が出るだろう。米国の量的緩和から生じた流動性は世界中を駆け巡っている。その為、FRBが流動性を回収することで生まれる影響はアメリカだけに限らないのだ。金融政策の転換に伴い、大規模な資産の再配置がいつ行われてもおかしくない状況だ。

 テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

 

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