英国による世界市場への影響は徐々に縮小か

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英国による世界市場への影響は徐々に縮小か

[2017年6月20日]

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英国総選挙からは今のところ予想外のサプライズは出現しておらず、多くの世論調査で推測されていた通り、与党・保守党が第1党の座を維持できたものの、議席は過半数にとどかず、ハング・パーラメント(宙ぶらりん議会)がイギリスに再来したことになる。「宙ぶらりん議会」では、テリーザ・メイ首相率いる英国政府が「レームダック 」(死に体)となってしまう可能性に各界の注目が集まっている。この他、今回の選挙結果がまもなく開始するEU離脱交渉に影響をもたらすかどうかという点にも、市場では関心が寄せられている。EU離脱交渉において、メイ首相はひたすら強硬姿勢をとっており、必要な際には「ハードブレグジット」(強行離脱)の可能性を示唆してきたが、これに対し、マーケットでは懸念を抱いている。選挙敗北後、メイ首相が比較的柔軟な態度で離脱交渉に転換するかどうか、成り行きを見守りたい。

選挙を終えて、保守党内の一部からメイ首相に辞任を求める声が上がった。しかし、筆者はメイ首相が短期間で辞職する可能性は低いと考える。その理由として、保守党が現時点において取り組まなくてはならない事として、党内が団結し、連立政権を形成してこの先のEU離脱交渉に備えることであることが挙げられる。さらに、イギリスの次政権は多くの困難な問題に対処しなくてはならず、その多くは火中の栗を拾うようなものだと言える。政治生命を犠牲にしないためにも、保守党内の重要人物が現段階で、急いでメイ首相に取って代わろうとはしないはずだ。筆者は、メイ首相が最終的に辞職となるタイミングは半年以上先になる可能性が高いと見ている。

選挙結果が出た後、英ポンドは圧力を受けたものの下げ幅は大きくなく、また、英ポンド下落による競争力増加により、イギリス株が好転した。全体的に見ると、総選挙後における株・為替の動きは、昨年のEU離脱の是非を問う国民投票後の動きと比べ、明らかに冷静なものとなっている。昨年6月にEU離脱陣営が国民投票に勝利後、更に多くの国々がEU離脱し、世界金融マーケットにショックを引き起こさないかが懸念されていた。それから一年が過ぎ、特にフランス大統領選にて親EU陣営のマクロン氏が勝利した後、EU解体というマーケットの懸念は小さくなっている。イギリス情勢がEU解体懸念を再燃させない限り、イギリス問題が世界金融マーケットに与える影響は、更に縮小していくだろう。

 テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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