年間の利上げ回数に存在する変数とは

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年間の利上げ回数に存在する変数とは

[2018年3月5日]

 

先だっての大幅下落を経て、最近の世界の株式市場はすでに安定を取り戻している。米10年債利回りは2.9%を突破しているものの、株式市場にはまだ以前のような恐慌情緒の再来はなく、市場が利上げに対し徐々に適応しつつあるようだ。しかし、債券利回りの上昇はすでにトレンドを成しているため、債券利回りが更に上昇した場合、再び株式市場が大きく変動する可能性がある。分析によると、10年債利回りが現在の水準であれば、米国経済および企業利潤に対しマイナス影響をもたらすことはなく、少なくとも3.2%に上昇してからようやくダメージが出てくるとの予想だ。債券利回りの上昇は間違いなく株式相場を大きく左右するわけだが、債券利回りの上昇が米国経済と企業利潤能力を損なわせることさえなければ、株式相場がブルからベアへ転じる可能生は依然として低い。

1月のFOMC議事録において、米FRBは「さらなる」段階的な利上げを要すると示しており、マーケットでは米国が利上げペースを加速すると見ている。議事録の発表後は、年間金利げ4回となる予測比率が以前に比べて増加している。しかし、今年の利上げ回数が何回となるかには、まだ多くの変数が存在している。税制改革の後、「1兆5千億ドルのインフラ計画」の推進がトランプ政権の次なる重要課題となってくる。分析ではインフラ計画が米議会で受け入れられない可能性が高いものの、もし議会通過に成功すれば、米国の財政赤字は更に拡大し、そうなれば米国債の追加発行に迫られるだろう。また、巨大なインフラ計画も米国のインフレを加熱させることになる。国債の供給量増加とインフレ圧力の激化で、利上げペースは加速する恐れがある。

インフラ計画の以外、金融市場のパフォーマンスおよび米中間選挙もFRBの利上げ決定を左右する可能生がある。もし債券市場が利上げ懸念の継続的過熱で暴騰した場合、金融危機勃発を防ぐため、FRBは利上げペースを調整するだろう。政治要因の面では、米国は今年11月に中間選挙を行う予定だが、2党の支持率の変化がFRBの金利政策に影響を及ぼす可能生もあり、現在のパウエルFRB議長がトランプ大統領の指名であったことを心得ておかなければならない。

 

 

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

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