米ドルの動きが新興国市場に及ぼす影響

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米ドルの動きが新興国市場に及ぼす影響

[2018年4月6日]

昨年の新興国株のパフォーマンスは好調だったと言える。新興国の株式市場の先行きを推測するには、米ドルのトレンドがある一定の基準値となる。従来、新興国株は米ドル安の際に比較的パフォーマンスが好調となる。米ドル為替指数が昨年初めて103ポイントの水準に上昇後反落し、88ポイントでようやく反発したが、この期間の新興国株はおしなべて好調な上昇幅を記録した。チャート上、米ドル指数の抵抗線は91ポイント付近とみられる。もし上昇突破となれば、米ドル安のトレンドが逆転する可能性があり、その際に新興国の株式市場に圧力がかかる恐れがある。反対に、もし米ドル指数が91以下をキープすれば、新興国株式は更に上昇する見込みがあるだろう。

金融政策の正常化および税制改革の効果が共に影響し、米ドル高に転ずる条件が揃いつつも、米ドル高に転ずるか否かは、依然として一連の要因の変化を見極めることが肝心となる。主要な経済体系を総合的にみると、金融政策の引き締めは米国だけに限らず、ECB(欧州中央銀行)は今年9月以降の債券購入プログラムを終了する可能性が出て来ており、日本中央銀行も少し前に長期国債買い入れ額の縮小を発表している。欧日の中央銀行による金融引き締めはユーロおよび日本円の動きを支持することになるため、このトレードオフにおいて、米ドル高となる条件は効力を削がれてしまうだろう。

その他の中央銀行による金融政策の影響を受ける以外に、米国政府の態度も米ドルのトレンドに重要な影響をもたらす。トランプ大統領は米国ファースト政策を重点的に打ち出しているが、中でも米国製造業の盛り返しが重要政策の一つとなっている。製造業を盛り返すには、米ドル安であることが必須となる。米ドル安であれば米国製品の競争力を高めることができ、米国産商品の輸出に有利になるからだ。事実上、トランプ氏は以前に米ドル安が続くことを望むと示している。米金利の段階的引き上げおよび税制改革によって、米国へ資金が逆流する中で、米ドル安政策を実施するためには、ワシントン政府は他国の通貨が高まるよう追い込む可能性がある。欧州と比べ、日本の方が米国の通貨政策に協力的あるため、日銀は少し前に突如長期国債買い入れ縮小の可能性を発表し、米ドル高へ転じる圧力が低下するよう協力している。

 

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

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