原油価格急落の後遺症を懸念する相場に

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原油価格急落の後遺症を懸念する相場に

[2014年12月23日]

P12014年も間もなく歴史となる時期を迎え、基本的に本年の投資が儲けとなるか損となるかはすでに確定しつつある。来年の見通しでは、投資市場に影響する不確実性(リスク)がまだ多く、投資家にとってリスク管理を怠れない状況が続く。原油価格の暴落のダメージを受け、ロシア経済が厳しい局面に陥り、ロシア株やルーブルが大幅に下落している。財政悪化に伴い、来年のロシアの見通しはデフォルト発生の可能性が増加しつつある。国際舞台において、ロシアの地位が全局面を左右するため、もしロシアが不安定となれば、世界の政治情勢にもダメージが及んでしまう。原油価格が短期間で上昇に転じることができなければ、来年のロシアの政治情勢は投資市場の時限爆弾となってしまうだろう。

ロシアのほか、原油価格の暴落はその他の産油国の構成にもダメージを与えている。多くの中東の国々の収入は石油販売であるため、原油価格下落ならびに需要減少は中東の産油国の財政収益を減少させてしまう。中東は常々地政学的リスクを抱えており、原油価格の低迷が国家間の衝突や対立の激化をもたらす可能性もあろう。つまり、地政学的リスクは来年におけるもう一つの重要な投資リスクとなる。

このほか、産油国は石油販売の収益の一部を投資にまわすと見られ、石油販売による収益が下がるに従い、金融市場の「石油資金」が減少する可能性がある。石油関連の投資商品の売買で損失を出した投資家に至っては、資金を回転させるべく、その他の投資購入に動く可能性がある。

原油価格下落および米ドル強勢が大幅に商品価格を反落させたことで、中国、欧州、日本等が経済衰退に直面しており、来年は世界の経済にデフレの影が覆うと予想する。デフレリスク上昇に従い、上述の経済体系は来年更なる金融緩和を実施する可能性が極めて高い。加えて米利上げの可能性が有ることから、中欧日等から放出される資金が米国へ流れる可能性が非常に高い。もし大規模な資金が継続して米国に向かった場合、米ドル以外の通貨はすぐさま価値下落の圧力に直面することとなり、非米ドル資産の価値にもマイナス影響を与えてしまうだろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム

(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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