米大統領選が不確定要因となる可能性

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米大統領選が不確定要因となる可能性

[2016年5月18日]

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最近、タカ派の発言が見られる米FRBが6月の利上げを示唆し、利上げ予想の高まりが米ドル指数の底打ち反発を誘発している。客観的環境から分析すれば、米国に利上げの切迫性は見られない。なぜなら米インフレ水準が依然目標を下回っており、加えて世界の金融市場に大量の不確定要因があふれているためだ。日銀が市場予想に逆らい様子見の姿勢を取った後、豪中銀(RBA)が予想外にも利下げを発表し、こういった中央銀行による政策の方向性が不一致であることに、金融市場は途方に暮れている。このほか、FRBの時にハト派、時にタカ派となる発言も金融市場に不確定性をもたらしている。

経済面では、中国本土が最近発表した製造業PMIおよび貿易指標は市場予想を下回っており、中国経済に依然として下落圧力が存在していることが反映されている。このほか、オーストラリアはコモディティの輸出大国であるため、豪中銀の突然の利下げは、世界でのコモディティ需要が今なお弱いことを物語っており、少し前のコモディティ価格反発はただの投機的な動きであった可能性が高い。事実上、もしコモディティ価格の反発がファンダメンタルズの裏づけによるものであれば、石油・石炭などのブラック系コモディティ先物取引において転売の風潮が高まるなか、中国が手数料を引上げてこれを鎮める必要などないはずだ。

中央銀行の政策や経済状況が影響するほか、政治がもたらす不確定要因もまた、常に金融市場に大幅変動を招く可能性がある。イギリスは6月23日に「EU脱退」の賛否を問う国民投票を開催するが、もし「脱退」となれば、英ポンド相場は追撃を受け、その際に世界の金融市場に変動が起こる可能性は避けれられない。また米大統領選も注目すべき議題の一つだ。候補者が出馬を辞退するにつれ、トランプ氏が共和党の代表として大統領選に出馬することはほぼ確実となりそうである。党員や党友の批判にとどまらず、トランプ氏は米国や他国の経済政策を公然と非難しており、その中には米国との同盟国も含まれている。それゆえに、もしトランプ氏が次期米大統領に当選した場合、世界的な政治情勢が更なる混乱に陥る恐れがある。米大統領選挙は11月8日に開催となるが、もしこの先の世論調査でトランプ氏優勢が強まれば、空売りや日和見相場が金融市場を直撃するだろう。

 テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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