- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2016年10月4日]
反転を繰り返し迎えた10月。株式市場の危機はこれまで何度も10月に発生しているため、多くの投資家が10月の株式市場になると何かしらの警戒心を持っている。この10月にはまだ重大な金融危機勃発のリスクは見られないものの、米大統領選や、イタリアの憲法改正の是非を問う国民投票などの要因が左右するなか、既に株式市場には大幅変動を起こす条件が揃っていると言えよう。
米大統領選は11月8日開催予定となっており、これまで同様、二人の候補者が選挙前に多くの場で論争する予定で、二人のパフォーマンスが世論調査だけでなく選挙結果にまで大いに影響を与えることになる。トランプ氏の過激なスタイルは米国社会の分化をもたらしながらも、典型的スタイルに反対する人々の支持を獲得しつつある。対して、典型的スタイルを代表するエリート分子ともいえるヒラリー氏は、彼女の健康問題が何度も米国民の注目を集めるなど、水掛け論のような低レベルの争いが続く。大統領の玉座が誰のものとなるかの予測は確実に難しくなっており、米大統領選がブラック・スワン(誰しも予想しなかった危機的現象)となるか否か要観察となる。多くの投資家がトランプ氏の勝利は災難だと見なしているため、世論調査でトランプ氏優勢あるいはヒラリー氏劣勢が示されるだけで、いつ金融市場に激しい変動が発生してもおかしくない状況だ。
米国の政治先行きが不透明な中、米ビジネス界では選挙前に投資を控える傾向が有る。慎重な投資情緒へと転ずるにつれ、米国株は短期で圧力が増すだろう。最近、米国株にはすでに弱化の兆しが見られており、もしダウ平均が18000を割り込めば、その後17500ポイントのサポートまで下落する可能性があり、米国株の弱勢が全世界の株式市場に圧力をもたらすだろう。
イタリアではレンツィ首相が自らの政治生命を懸けて改憲の是非を問う国民投票を実施する。もし憲法改正が否決となった場合、レンツィ氏が政界を引退する可能性は大きく、そうなればEU離脱派がさらに勢いを増すだろう。近年、イタリア社会ではEU離脱情緒が充満しているため、国民投票の結果によって、イタリアがEU離脱の路に踏み込むか否かに影響を及ぼす可能性が高いと市場は見ている。イタリアの国民投票開催予定は12月4日で、現時点で2か月以上先であるものの、国民投票前の世論調査結果はすでに金融市場に大きく影響を及ぼしている。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
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