- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2016年10月18日]
少し前に「北水」(中国本土の金融緩和によるホットマネー)が継続して香港へ流入するなか、香港株式市場は目覚しい上昇を見せたものの、最近では「北水」の香港流入が減少するにつれ、香港株式市場は弱化の兆しが現れ始めている。「北水」が減退するか否かを知る前に、まずは香港株式市場の一日当たりの買付額を参考にすることができる。もし一日の買付額が、ここ最近の10億元から以前の数億元へ戻っていることが判明した場合、投資家の皆様にはご注意いただきたい。
「北水」が南下して香港株を買う背景としては2つの可能性がある。まず第一に、人民元安を回避する事。そして第二に、中国A株上昇の材料不足だ。昨年の人民元暴落以降、市場では人民元がもう上昇するばかりの通貨では無いとの意識が生まれており、この先の為替相場は実態経済を反映していくと見られている。人民元安予測が形成されるにつれ、また米利上げの可能性も重なったことで、中国本土の投資家にとっては資産再配置への誘因がますます大きくなっている。こういったことから、米ドルとのペッグ制(固定相場制)を採用している香港ドルの資産は、中国本土の投資家にとって避難港とみなされているのだ。
中国A株は多くの場合で政策を材料視して高騰するため、近月においては政策による材料不足から、A株の上昇幅が制限されていることも、香港株式市場のメリットを増加させている。中国本土は今月下旬に第18期中央委員会第6回全体会議(六中全会)を開催予定で、経済より政治優先の前提のもと、中国は六中全会を終えてからようやく経済政策を発表する可能性がある。ひとたび政策発表の材料が増えれば、薄商いが続くA株市場に「北水」が逆流する可能性があるだろう。
香港株式市場が好調であった昨年の「大時代」とは違い、今回は「北水」を主力とした買い入れとなっているため、その資金源は大口資産家あるいは機関投資家である可能性が高いだろう。大規模な「北水」が南下する際、中国本土は保険資金による香港株式市場への投資を許可すると発表しており、今後は値嵩株が保険資金で買われると予想される。資金が多く香港に押し寄せる事で、香港株式市場は短期的には大きな上昇が見込めるものの、長期的な上昇を望む場合、ファンダメンタルズと合致できるかどうかが非常に重要となる。もしこの先香港株式市場のパフォーマンスが尋常ではない場合、昨年の香港株「大時代」の後に起きた暴落が再来する恐れがある。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。