日銀の新政策は市場の信認得られず

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日銀の新政策は市場の信認得られず

[2016年10月26日]

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日銀は前回の会合後に政策の新たなフレームワークを調整すると発表。これまでのインフレ率2%達成を目指す債券買い入れや、10年国債の収益率をゼロ%程度で推移させることなどを含み、今回の調整が量的緩和政策のクオリティを高める後押しとなる。新たなフレームワークのもとで、日銀の債券買い入れ期限はインフレ目標がいつ達成するかによって決まることになろう。もしインフレ率がいつまでも目標に達しなければ、日銀は永遠に債券を買い入れつづけることになってしまう。当然、市場では日銀が買い取るに十分な国債があるのかどうかを問題視しており、今年7月までの債券購入で、日銀の国債保有はすでに3分の1となっている。

量的緩和以降、日本国債のイールド・カーブは平坦化し、企業の資産はマイナス金利に蚕食され、銀行業の利潤も金利差益の縮小によって重い圧力に直面することとなった。日銀が10年債利回りをゼロ%程度に制御する目的は、イールド・カーブを高く引上げるためであり、長期債券利回りが短期利回りを上回るようコントロールすることで、長期債券保有者はより良いリターンが得られる。また10年債利回りをゼロ%で維持するとは、日銀が10年債の買い入れを縮小することを意味しており、日銀からの需要減少によって、恐らく市場資金に対してその他の年期の国債への投資転換を誘発すると見られる。もし上述の情況が現れた場合、日本ではイールド・カーブが逆転することになり、その際には日銀が望む長期利息が短期利息を上回るという願望が水の泡となってしまうだろう。

日銀が政策のフレームワークを改善するとはいえ、日本経済の起死回生が可能になることを意味するわけではない。周知のように、日本経済は構造問題に直面しており、単純に量的緩和策だけでは経済を救えない。日本が採択した量的緩和政策はすでに長い時間を費やしてきたが、その事実として、低金利や量的緩和などの措置がいずれも日本経済を谷底から引き上げることはできなかったと証明している。また、ゼロ金利政策から量的緩和、そしてマイナス金利政策に至り、さらに新たにイールド・カーブのコントロールにまで着手しており、市場は日銀の手数がますます少なくなっていると考えている。政策の骨組み発表後も明らかな円高化が見られなかったことは、市場の日銀への不信認および日本の先行き懸念を如実に反映している。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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