秩序ある人民元安は企業経営采配の余地を生む

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秩序ある人民元安は企業経営采配の余地を生む

[2016年11月22日]

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米ドル強勢の影響を受けて、人民元が続落している。イタリアの憲法改正の是非を問う国民投票で「ブラック・スワン」が再発でもしない限りは、米ドル強勢が12月のFOMCまで続く可能性が極めて高い。米ドル強勢が逆転するまで、人民元が弱勢から脱することは容易ではないだろう。経済全体から見て、中国政府は人民元の適度な秩序のある価値下落を楽観している可能性がある。なぜなら人民元安で中国の競争力を高め、外資による中国でのビジネスコストを引き下げられるからだ。中国の株式市場にとって、継続した人民元安がもたらす影響の良し悪しを決定づけるものは、人民元安が秩序あるものであるかどうか、および、株式市場の将来性如何にかかっている。

昨年8月、人民元が大暴落し、突然の人民元安は株式市場の急落を触発した。人民元を支持するとの政府発表が広まるにつれ、人民元および株式市場はようやく安定した。大暴落から今もなお、人民元は基本的に下落相場となっているが、下落は秩序を保っており、今のところ人民元安による株式市場への明らかなダメージはみられない。上述の情況を参考にすると、今後急落さえしなければ、たとえまた人民元安が進んだとしても、株式市場が大きな圧力を受けるとは限らないだろう。事実上、秩序を保った下落でさえあれば、企業は人民元安がもたらすリスクを最低限まで引き下げるための余地をえられるのだ。

人民元安により、更なる高リターンを求めて、香港株式市場や海外の不動産などふくめ、中国以外のエリアへ資金を動かしている投資家もいる。しかし、もしA株で得られるリターンで人民元の下落幅を相殺できれば、中国内の資金は国内に留まりA株へ投資される可能性がある。つまり、資金の国外流出を防ぐには、A株活性化も手段の一つとなる。当然、A株活性化は品質ありきで始めるべきで、単純に株価を高騰させるだけでは、最後には予想に反する結果となる恐れがある。少し前に、中国の資金が人民元安を理由に、割安かつ米ドル資産に属する香港株式市場を買おうと大挙して南下したが、高騰一巡後はAH株価差が狭まり、「北水」(中国本土資金)の南下も静まりを見せている。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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