中国本土居民による香港での保険加入意欲強まる

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中国本土居民による香港での保険加入意欲強まる

[2017年2月10日]

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近年、中国本土居民の多くが香港入りして保険加入をする傾向が続いている。保険管理当局の資料によると、昨年上半期における中国本土客による新規保険証券の掛金総額は約301億元となり、これは個人契約での新規保険掛金のうち36.9%を占めている。中国本土居民が香港での保険加入を選択する理由として、その背後に切り離せない2大要因がある。まず第一に、香港の保険商品の方が本土と比べてより広範囲をカバーしていることや、合理的な保険掛金、そして保険金請求がしやすいことが挙げられる。そして第二に、本土では投資手段が不足していることから、人民元安が続く中で購買力が損なわれないよう、中国本土の人々は国外を選んでより高いリターンを模索している。保険のほかに、中国本土資金が香港の不動産へ流れている割合も少なく無い。

中国本土で腐敗撲滅運動が厳格かつ迅速に行われる中、中国政府は資金流出に対し非常に敏感となっており、銀聨が本土民による香港での保険料支払いにカード決済を禁止したことも予想内の動きだと言える。しかし、問題の核心に着手しなければ、たとえ銀聯がいかに制限を設けようとも、結局中国本土民はまた他の支払方法で香港の保険商品を買うことになってしまう。本土居民の香港での保険購買意欲を引き下げるためには、中国本土は保険の種類や保険掛金の水準、そして保険金支払いの三方面から改革しなければならない。中国・香港両地の保険商品に明らかな差が見られない状態となれば、中国本土民は香港で保険を買う誘因の一つを減らすことになる。

比べてみると、人民元安懸念というこの要因ひとつの方が解決が難しいと言える。人民元安傾向は多くの要因によってもたらされており、近年の中国本土経済成長のペースダウンや、米利上げ予想の加熱などが含まれる。上述の要因はマクロ面にまで及ぶ上、その一部は中国本土が直接掌握できない要因であることから、早急に人民元安を転換させる事や、もしくは民衆の人民元に対する見解を変えることは決して容易ではないだろう。言い換えると、中国本土はこの先ある程度の期間、継続して資本流出問題に苦しむ可能性が高い。中国本土の保険商品が、人民元のマイナス幅を大きくカバーできるリターンを提供できるようになれなければ、人民元安への懸念はこの先も本土住民の国外保険購入を駆り立ててしまうだろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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