まだ米利上げ追随の必要ない香港金利

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まだ米利上げ追随の必要ない香港金利

[2017年3月29日]

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市場の予想通り、米FRBは前回から3カ月以内に2回目となる利上げを決定。FRBは年間で3回の利上げ実施を目標としており、米利上げペースが加速しない中、FOMC後にドル安がすすみ、香港・米国の株式市場が上昇した。FRBイエレン議長から更なるタカ派シグナルは見られないものの、FRB内で年三回以上の利上げを支持する人数が以前よりも増加していることに加え、当局がインフレ率予測を上方修正していることから、今後年間利上げ回数が引き上げとなる可能性がまだあると見られる。米ドルは世界の主要な保有通貨であるため、米国の利上げペースが世界の資金の流れに影響をあたえ、資産の再配置が常に金融市場に大きな変動をもたらす可能性がでてくるだろう。

米国が3カ月以内に利上げを行ったことは米国経済が理想的なパフォーマンスを見せていることを物語っており、失業率が4.7%に下がったことや、インフレ率の上昇がFRBの目標のレベルへ達していることも、この一面から見て取れる。しかし、米国経済の先行きに不確定要因が全く無いわけではない。トランプ氏の打ち出す税制改革や1兆ドルのインフラ建設への投資がいつ実施されるのかまだ不明となっており、もし実施の際に障害にぶちあたれば、米国経済はある程度のダメージを受けるだろう。大手投資銀行の予測では、米国は来年4回利上げをすると見ているが、これに対し筆者は時期尚早な言及であるとみなしている。なぜなら利上げは経済抑圧の効果を生むため、もし今年の利上げを経て米国の経済成長がペースダウンした場合、FRBは来年に利上げを急ぐ必要はないだろう。

銀行体系の保有資金に減少が見られない中、香港の金利はまだしばらく米国に追随する必要はないと言える。現在プライムレート(最優遇貸出金利)は約2.15%で、HIBOR(香港銀行間出し手金利、1ヶ月)は約H+1.35%となっており、推定して、HIBORが0.8%以上上昇する際、香港の銀行が利上げに踏み切る可能性が非常に高い。香港と米国の金利差が拡大するにつれ、香港の為替相場は中長期でトレンドが続く可能性がすこぶる高い。香港が利上げに踏み切るまでの期間、香港ドル相場は許容下限に達する可能性も否めない。アービトラージの動きがある中で、香港に停泊している資金はすぐに流出してしまうだろう。資金の離脱の際や、中国本土の資金がもう南下しなくなった際には、香港の株式市場および不動産市場は調整局面に直面する恐れがある。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。

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