香港不動産市場の構造は20年前よりも健全に

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香港不動産市場の構造は20年前よりも健全に

[2017年4月5日]

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20年を経て、香港に再び「地王」(金に糸目を付けず土地を買う不動産業者)が現れた。香港島南部にある小島「鴨脷洲(アプレイチャウ)」の臨海敷地を、少し前に中国資本の不動産業者が170億元近くで購入した。1平方フィート当たりの地価は、22,000元以上となっており、建築物完成後は少なくとも3万数千元に達すると予想される。地王の再来で、20年前の小西湾の地王を思い起こす人もいるだろう。当時小西湾の土地を購入したのはシノ・ランド(信和置業・00083.HK)だった。小西湾地王の出現で、当時の不動産市場の加熱がピークにまで押し上がったものの、アジア金融危機の到来と政府による住宅供給プログラムの終焉で、不動産市場のバブルは弾けてしまった。不動産市場のバブル崩壊後、大量のマイナス資産が出現し、香港も長いデフレ期に突入することになった。当時の痛ましい状況は今も多くの人々がありありと思い起こせる事だろう。地王が再来したことで、人々は新たな不動産危機がもう目前なのではとの懸念をぬぐえない。

不動産価格が反映された不動産指数は再び高値を更新。これを目の当たりにして、これまで今年の不動産市場は軟調になると見ていた専門家は急いで予測を変更しており、中には不動産価格がさらに20~30%上昇すると見る専門家もいる。不動産価格の高止まりは今に始まった事では無いものの、政府が相次いで政策を実施した後、不動産市場に残っているのは主に居住用物件となっており、20年前に転売業者が市場を主導したことと比べ、現在の不動産市場の構造は健全だと言えるだろう。このほか、銀行ではすでに不動産ローンの審査において更に厳格な政策をとっていることや、香港の不動産業者の現在の財務状況は97年時よりもはるかに健全であることから、もし不動産市場が反落しても、香港経済は十分に対応能力があるだろう。

中国資本企業の積極的な香港での投資を目の当たりにし、香港の不動産業者は日増しに競争を激化している。不動産で投資利益を得るため、香港の不動産業者はこの先積極的に土地を買い入れるほかなく、コストの上昇が長期的に不動産業者の利潤能力に損害を与える恐れがあるだろう。中国資本による相次ぐ不動産の高値買い付けは、すでに香港社会の注目を集め始めており、中国政府がこの動きに何らかの措置を出すか否かが焦点となっている。

短期的には、市場の焦点は来月開かれる両会に集まっている。過去17回の両会を参考にすると、両会前にA株が好調となる確率が非常に高いため、再び「両会市況」となるか否かに留意。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。

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