「債券通」ボンド・コネクトが香港債券市場の発展を後押しか

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「債券通」ボンド・コネクトが香港債券市場の発展を後押しか

[2017年5月16日]

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ある報道によると、習近平国家主席が7月に香港返還20周年記念式典に香港を訪れ、その訪港期間中に「債券通」(ボンド・コネクト)の実施を宣言するだろうとしている。その報道によると、「債券通」は「三先三後」方式、つまり、「香港から中国本土の債券市場へのアクセスを先行し、その後、中国本土から香港債券市場へのアクセス」「機関投資家による取引を先行し、その後、個人投資家」「場外マーケットを先行し、その後、場内マーケット」といった方式で開始される。

香港は国際的な金融センターであるが、債券市場の発展はむしろ大きく立ち遅れている。それとは対照に、中国本土の債券市場は、香港の債券市場より成熟しており、大規模となっている。香港債券市場の発展を待つ中、まず、海外資金による中国本土の債券購入を認めるのは理にかなったものである。香港について述べると、「債券通」は長期的な債券市場の発展を促し、香港の国際金融センターとしての地位を強める一助となる。そして中国本土からの視点で見ると、「債券通」によって、中国金融市場と人民元の更なる国際化を進めることができよう。

現在、中国本土の債券取引は主に機関投資家によって行われている。機関投資家に比べて、個人投資家は債券投資に対する認識が乏しい。中国本土、香港ともに、多くの個人投資家は株式投資のみを好んでおり、個人投資家の債券に対する認識は一般的に深くない。個人投資家の債券投資に対する認識を向上させるのであれば、中国・香港両地の関連団体が投資家教育を強化していく必要がある。個人投資家が債券投資に対する認識を深める前に、「債券通」がまず機関投資家に開放されるのは理にかなっている。

中国本土における債券取引の大部分は場外マーケットにて行われ、その中に中国本土の銀行間の債券市場も含まれる。場外マーケットにおける取引規模は59兆人民元に達している。「債券通」ではまず場外マーケット部分を海外マーケットからアクセスできるようにし、中国本土の場外債券市場の発展を深めるのに役立つ。

人民元が特別引出権(SDR)バスケット通貨となった後、人民元建債券への需要が増加し、「債券通」はその需要を満たすことができる。しかし、中国本土において、近年、多くの企業が債務不履行デフォルトを起こしている。このため、「債券通」実施の初期段階では、海外資金は国債や大型企業が発行する債券に集中すると予想される。

 テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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