- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2017年8月30日]
過去数年、一部の株式が比較的好調であることを除き、多くの投資家から大いに受けが良い従来の主要銘柄が未だに株主へ著しいリターンをもたらせていない。保有銘柄のリターン不足を目の当たりにし、一体どのような奥の手を使って株価低迷の局面を抜け出すことができるのかと、株主総会で企業の管理者を問いただす少数株主も現れている。少数株主の不満に対し、積極的に対応する企業もある。一例では財政資源による自社株買いを許可することで、株価の引き上げを図るなどというものだ。
香港株式市場は過去に2度、2008年の下半期および2011年の下半期に、大規模な自社株買いが発生した。その際の株式市場は、リーマンショックによる金融危機と欧州債務問題のあおりを受けており、2度の自社株買いの後の香港株式市場はいずれも底打ち反発となった。昨年から、香港株式市場では再び自社株買いの動きが広がっており、HSBC(00005)、長江実業地産(CKプロパティ/01113)、中国旺旺(ワンワンチャイナ/00151)、恒安国際(ヘンアンインターナショナル/01044)、蒙牛乳業(モンニュウデイリー/02319)、北京控股 (ベイジンエンタープライズ/00392)、中国恒大(エバーグランド/03333)などが相次いで自社株買いを行なっているものの、一連の自社株買いおよび株価は、合理的価値に大きく関連があることを反映できていない。自社株買いは短期的な株価上昇の効果はあるものの、企業の収益能力を改善することはできないため、長期強勢を取り戻したいのであれば、一貫して肝となるのは、企業が力強いファンダメンタルズによる支持を得られるかどうかにある。
企業の自社株買いを耳にして小躍りする投資家も少なくないが、実際のところ、自社株買いの陰に潜むマイナス面のシグナルを見過ごすことはできない。自社株買いに使う資金は通常すべて企業自身の物であるため、言い換えると、自社株買いは企業の保有資金を消耗させてしまう。もし資金の減少幅が過大であれば、有望なプロジェクトが出てきても、十分な資金がないために成長を放棄する可能性がある。これより分かるのは、自社株買いは将来的に企業の成長のチャンスを妨げる可能性があるということだ。そのほか、多くの企業による自社株買いは、この先一定期間内で投資に値する新たなプロジェクトが無いことを反映しており、企業成長が停滞状況に陥る可能性を示している。もし新たな成長のチャンスが無いのであれば、企業の長期先行きが有望とは言えないだろう。
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