米中の長期関係、順風満帆とは言い難し

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米中の長期関係、順風満帆とは言い難し

[2018年12月3日]

ハンセン指数は5月から6ヶ月間続落し、これはここ三十数年で初めてのことだ。6ヶ月の下降トレンドを経て、香港株式市場は相当な投げ売り相場となっていたため、ハンセン指数が11月に反発したのは非常に正常な動きと言える。香港株式市場の反発相場が継続できる可能性において、重要なポイントの1つが、米中関係がこの先改善できるかどうかという点である。

トランプ米大統領は年明けに貿易不均衡を理由に中国に対して貿易制裁を加えるとし、表面上は経済戦争であるように見えるものの、その本質は米中の全面的な力比べである。改革開放後、中国本土経済は急速に発展し、全体的な国力も大幅に上昇してきたことから米国のリーダー国としての地位が脅さつつある。もしこのまま経済成長の勢いが変わらなければ、中国本土経済の規模は最終的に米国に取って代わることになろう。「トップスター」の地位を守るべく、米国は中国の成長を抑制しなければならない。実際、米国はオバマ政権時代にはすでに中国封じを決定しており、当時オバマ氏はアジア太平洋地域での戦略を再始動させている。オバマ氏と比べると、トランプ氏による対中政策は、より直接的で、かつ明らかに攻撃的だ。民主党と共和党それぞれ違う党の代表である大統領が、いずれも対中政策に力を注いでいることに基づいて考えれば、中国発展阻止がすでにワシントン政府の基本国策になっている可能性が高いと筆者は見ている。

中間選挙の結果を見ると、共和党内では温和路線の候補者では有権者の指示を得られず、急進路線の人物が主だって勝利していることから、選挙結果と米国社会の近年の気風はかなり大きく関係していることがわかる。ここ数年、米国社会では右翼勢力が台頭しており、トランプ氏はみごとに情勢を捉え大統領の玉座に上り詰めた。有権者が政治家の過激なやり口を嫌悪するようにならない限り、トランプ氏は再任を狙ってこの先2年で過激な政策を続ける可能性がとても大きい。穏健派が米国で支持を失い、その上トランプ氏の手から再び大統領の座を奪還せねばならないことから、民主党はこの先急進的路線へ転換する可能性は大いにあるだろう。米政治情勢の影響から、たとえ米中関係に短期的な改善が見られたとしても、米中の長期的な関係が順風満帆になるとは言い難い。

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

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