- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2014年8月4日]
7月のHSBC中国製造業PMIの速報値は52で、市場予想の51を上回り、18カ月ぶりの高水準となった。中国政府が少し前から取り組んできた経済措置への微調整が、経済安定化に繋がっていることが反映されている。しかし、中国本土は他にもあらゆる改革を進行させているため、経済先行きは決して明るいとは言えない。長期的安定成長及び雇用保持の為、中国政府が今後も多くの微調整を実施し経済を下支える可能性は大きい。最近、李克強首相は、本土内の銀行が大企業だけを対象としたビジネスを行い、中小企業への融資が非常に困難となっている事を批判しており、この発言から中国政府が銀行に対し、中小企業の財務需要解決に向けた協力を懸命に促していることが伺える。中国政府の協力を受け、中小企業の経営環境は改善が見込めるため、中小企業経営状況のHSBC製造業PMIは、今後も向上する可能性が反映されている。
また、中国本土の6月の外国為替資金残高は882.8億人民元の減少となり、ひと月あたり2年半ぶりの最大下落幅を記録した。この6月のデータより中国本土からの資金流出が伺えるものの、国内外企業が6月に上半期の決算を行った事と関連している可能性が高い。ここ数週間で、人民元は低水準から徐々に反発を見せており、加えて6月には国外からの直接投資が顕著に反発している。このため、本土からの資金流出は短期的な現象である可能性が高い。もし外国為替資金残高が反発した場合、この先資金の流動性が更に高まり、企業への融資圧力の緩和を後押しする事を意味する。
年明けから多くの投資家が相次ぐデフォルト問題の勃発を懸念しており、5~9月はハイリスク期にあたる。まだハイリスク期を脱していないものの、5月から現在にかけて、中国本土でのデフォルト問題の勃発は今のところ見られておらず、この成果は中国政府当局が適切な時期に各措置を打出せている事が大いに影響していると言えよう。中国経済は徐々に安定が見られ、加えて中国人民銀行(中央銀行)による「放水」(金融緩和)や、政府がしっかりと市場発展を見守っている事から、年明け当初よりもデフォルト問題が起こる可能性は下がりつつある。近日では、建設会社の華通路橋集団がデフォルトを回避しており、現状として債務問題を抑制できていると見て良いだろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。