- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2015年1月14日]
明けましておめでとうございます。2015年の年初めに際し、皆様の一年が豊かとなり、投資が大勝利となるようお祈り申しあげます。
さて、昨年を振りかえると、中国A株が世界でも突出した高パフォーマンスとなり、上海株式市場の上昇幅は50%以上となった。年が明けてからも、市場は全体的にA株に対し楽観視を維持している。A株の好調により資産形成の効果を得られることは、中国経済にとってある程度のメリットがあろう。しかし、A株が好感される際にも、常にA株の値崩れを触発しうるリスク要因があるため、投資家はこういった潜在的なリスク要因に注意を払う必要がある。
A株の上昇は主に中国人民銀行(中央銀行)による「放水」(量的緩和)が牽引しており、今年も「放水」が継続されると見る期待感が株式市場が好調な理由となっている。注意すべきは、中国経済がまだ底打ちとなっておらず、下振れ圧力が依然存在している点だ。中国本土の株式市場に実体経済を反映させるには、株式市場と経済の動きが相反する状況を長く続けさせておくわけにはいかない。つまり、A株の強勢を長期的に維持するには、今年の中国本土経済において軌道修正が不可欠となろう。
李克強首相はこれまで何度も民間中小企業が銀行からの貸し渋りを受けている点について触れており、中央銀行による「放水」の目的の一つが中小企業の財政圧力緩和である事は間違いない。しかし、政策金利の引き下げ後、大量の資金が株式市場に殺到しており、この現象が中央政府の目論見どおりたったのか否かは注目すべき点だ。利下げによって放出された資金が株式市場の投資へ回るのは正常な動きであるものの、もし資金が株式市場へ流れるばかりで、中小企業の貸付需要が看過される結果となれば、中央政府が資金の流れに再介入し、株式市場から資金を引き離し実体経済へ流入させる可能性がある。
A株は小口投資家を主とする市場の一つであり、ひとたび市場を離脱する投資家が現れると、株式相場への調整圧力は実に大きなものとなろう。また、中国本土の株式市場は政策の影響に大きく左右されるため、政府方の言動の一つ一つが市場に大きな変動を誘発させてしまう。少し前には、政府がメディアを通じて加熱した株式市場の沈静化を試みている。最後に今一度注意喚起したいことは、中国本土の低質な銘柄が非常に高水準な価格となっている点であり、もしこれらの銘柄のバブルが崩壊してしまった場合、全体の投資雰囲気に大きな重石となる恐れがある。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。