A株「ジェットコースター相場」がこの先頻出か

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A株「ジェットコースター相場」がこの先頻出か

[2015年1月29日]

P1中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC)は大手証券会社3社に対し信用取引口座の新規開設を一時停止する処分を発表、期限を3ヶ月とし、これを嫌気した上海総合指数で7%以上の大暴落が起こり、中国資本の金融関連株は深刻なダメージが発生したセクターとなった。昨年の第4四半期に、突然の中国人民銀行による政策金利引き下げ決定によって5割もの高騰をみせ、今回の証監会の決定を受けて7%以上の下落といったA株の「ジェットコースター相場」は、中国本土の株式相場の脆弱性および政策による威力の大きさを突如露呈してしまった。株式市場の暴落を憂慮してかどうかは不明だが、証監会はA株暴落後に迅速に声明を出し、政府には証券会社への管理監督措置の実施によって株式市場を抑圧する目的はないとし、投資家達に過度な深読みをしないよう呼びかけ、この発言は相場を落ち着かせようとする意味合いを強く含んでいた。

ここ数ヶ月のA株の動きを見ると、中国本土の株式市場は依然として成熟不足が深刻な市場である。中国本土の株式投資家たちが大規模な強気相場や弱気相場を経験したにも関わらず、個々の投資家の動きに明らかな進歩は今なお見られない。個人投資家の水準を高めるには、政府は投資関連の教育を強化し、個人投資家達にリスクとは何なのかを理解させる必要があろう。昨年11月から、信用取引融資が非常に活発となり、融資金を元手に株式を購入する個人投資家が増加しつつある。こういった「マージン取引」を利用し投機的売買を行うという危険性が高い行為は、一度でも市場を読み誤ると、その損失は天文学的数字に至る可能性を含んでいる。投資家の融資金を用いた投機的売買による株価高騰を防止し、信用取引融資市場が抑制不能に陥らないよう確保するため、証監会が規則違反を行った証券会社に対し処罰を下すのは合理的な動きと言えよう。

中国はしょせん新興国市場であり、株式相場の高騰と暴落は避けがたい。A株相場は政策が主導してしまうものの、政府方の言動から基本的に情報が読み取れないため、A株相場の予測は確実に難しくなっている。A株相場の予測が容易ではないにしろ、筆者は、中国政府がA株のここ数ヶ月の急上昇に調整圧力を加えたかった訳ではないと見ている。なぜなら株式市場の反落は、今なお下振れリスクがまだある中国経済生産のマイナス影響に対するものだからだ。A株の7%超の急落後、証監会が急いで株式市場の安定化を狙う発言をした事からも、中国政府が株式市場の暴落を望んでいない事は明白であろう。 

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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