米FRB、金利政策に執行猶予残す

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米FRB、金利政策に執行猶予残す

[2015年2月11日]

P11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)前の予想では、ユーロ圏などで近い将来に金融緩和が行われてしまう可能性を回避するため、FRBが会合後の声明において利上げ時期の延期を暗示するのではと見られていたが、結果的に利上げ延期の暗示はされずじまいで、今年中に利上げとなる可能性が依然高いことが反映されている。会合後の声明で、FRBは利上げに対し「忍耐強く待つ」と表現しており、前回の会合後声明と同様の陳述となっている。一般的に見れば、FRBが「忍耐強く待つ」という言葉を削除した後の会合で利上げ実施を発表する可能性が高まるだろう。また、今回の金利政策決定の投票結果は10票となっており、投票権をもつ10名の委員全員の意見が一致していることを反映しているため、利上げ実施に対する意見の相違がすでに消失している点にも注意したい。

経済パフォーマンスについて、FRBは堅調な伸び(Solid Growth)であると形容しており、米国経済の先行きを楽観視していることが反映されている。原油価格下落の影響で米国のインフレ率が低下するとみる者もおり、米国はもとより利上げを急ぐ必要はない。しかしFRBは、原油値段の暴落によるインフレ抑制は短期的な現象であるとし、米インフレ率が中期で2%近く反発すると見られることから、FRBの陳述は政府方がデフレに転ずる可能性を懸念していないことを表している。FRBは米国経済の先行きを好感しており、利上げに対する懸念は基本的に無くなっている。しかしながら、今なおFRBは利上げ実施に僅かな「執行猶予」を残している。

FRBは、金融および雇用市場の情報以外に、国際的な動きにも注目するとしている。ここから推定するに、FRBの金利政策が国際情勢に左右されている可能性も残る。事実上、世界の経済情勢はここ数カ月で非常に複雑となっており、原油価格の下落が止まらず、中国経済も下振れリスクを脱せず、ECBが量的緩和を実施し、多数の国々が相次いで利下げを行うなど、いずれも世界経済を覆すに十分な変化が起こっている。国際情勢が悪ければ、米国経済は自分勝手な動きを取るわけにもいかず、FRBが政策実施にある程度の猶予を残しておくのは理解できよう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム

(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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