- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2015年3月24日]
調整を一巡し、A株が近日ふたたび強基調となった。上海総合は3,400のレジスタンスを突破し、近年の最高値を更新。両会(全国政治協商会議と全国人民代表大会)閉幕後の記者会見で李克強首相は、中央政府はまだ多くの方策が使えるとし、市場に大きな安心感を与えたことがA株相場を支持する主な要因となっている。首相は多くの方策があるとしたものの、具体策については言及していない。ここ1、2年で中央政府は主にインフラ建設投資の増加や金融緩和を通して経済の振興を行ってきた。今後は経済安定の重点措置として財政緩和引や量的金融緩和を継続すると予想され、そのほかでは為替レート規制策や税政策などを含む経済規制策の可能性が考えられよう。
中央政府から継続した緩和措置が期待される状況は、A株の短期先行きにとってはもちろん好材料となるが、長期的な上昇トレンドを形成できる可能性については経済先行きに好転の気配があるかどうかがキーポイントとなる。2度の利下げおよび1度の預金準備率引き下げを経て、この先数カ月の中国本土経済にはある程度の改善が見込まれるが、もし改善が周期性のものにとどまれば、経済は短期好転の後に再び下落する可能性がある。継続して移動性が高まると同時に、中央政府はその他の政策を打ち出して需要を刺激する必要があるため、もし需要が改善しなければ、中国経済は「流動性の落とし穴」陥る恐れがあり、そうなれば金融政策は経済のコントロール能力を失うことになるだろう。
中国経済に立ちはだかるのは構造問題だ。これを解決するには、ひたすら力強く改革を推進するほかない。目下、腐敗撲滅の流れが大きく盛り上がる中で、まだ摘発されていない政治家はとにかく調査を免れる事ばかりに囚われ、規則を違反していない政治家達に至っても大部分が触らぬ神に祟りなしといった心理状態だ。政治家達の連携が上手く行かなければ改革進度の足かせとなり、これもまた改革の明確な効果が示されない主な要因となっている。中国本土経済に存在する構造問題は、政治家達の腐敗問題に関係している部分もあるため、中国の長期的成長の視点で見れば、腐敗撲滅は必須だ。如何にして腐敗撲滅を行いつつ改革を推進していくのか、中央政府にとって難題であることに間違いない。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
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