規制緩和で中国公募ファンドによる香港株買いを誘発か

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規制緩和で中国公募ファンドによる香港株買いを誘発か

[2015年4月8日]

P1CSRC(中国証券監督管理委員会)が中国本土内の公募ファンドに対し、QDII(適格国内機関投資家)資格の取得不要で香港株式市場への株式投資を許可した。上海証券取引所経由で香港株を売買する「港股通」(ガングウトン/サウスバウンド・トレーディング・リンク)が薄商いであったため、この緩和は確かに好材料となるが、実際の効果はまだ要観察だ。港股通が開始してからこれまで出来高不振であった要因の一つとして、中国本土のファンドが香港の株式市場に直接エントリーできなかった事が挙げられる。当局がこの障害を取り除いたことで、港股通の出来高増に期待が持てるだろう。中国内のファンド業界では、香港の株式市場へのエントリーに制限が無くなったことで業界の成長が刺激され、港股通をメインとしたファンドが続々と登場すると予想されている。

ファンド業界の発展推進が可能となるだけでなく、香港の株式市場活性化はA株に調整をもたらす可能性も出てくるだろう。現在、A株はH株に比べ三割高で、中でも中小企業板(SMEボード)や創業板(ベンチャーボード)に至っては株価収益率が60~90倍に達している。このように一部のA株が理性無く高騰する要因として、資金を容易に他の投資にまわせない事と関連が有ると言えよう。中国本土のファンドが港股通に直接投資できるようになれば、本土の資金は、評価額が高騰するA株を売却後、香港市場へ南下して評価額がより安いH株へと動く可能性がある。港股通の活性化によってA株の評価額を調整できるのであれば、加熱した株式市場を行政手段によって強制的に冷却するよりも好ましいと言えよう。

一部では、もし南下する資金が多くなれば、A株に流入する資金が減少するのではと考える投資家もいるようだ。実のところ、どれだけ多くの資金がA株に流入し、港股通の出来高が活発化するかどうか、必然的な関連性は存在していない。両エリアの株式市場が資金流入を呼び込めるか否かのカギは、経済の先行きと株式市場の吸引力かかっている。経済の先行きが人々に確信を与え、株式市場に株価上昇の潜在能力が備わりさえすれば、南下する資金が増加する際には、北上する資金も増加できるだろう。

これまでのところ、港股通にエントリーしているのは大部分が小口投資家だ。彼らは主に規模が比較的小さな銘柄の投機的売買を行っており、それらの銘柄が必ずしも一定のファンダメンタルズを有しているわけではない。今後、港股通関連のファンドか流行すれば、ファンドは大型株への投資が主となるため、A株市場では手が出されなかったブルーチップや国営企業銘柄が南下資金の流入対象として活発になると予想される。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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