- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2015年5月13日]
米国の第1四半期の経済成長は0.2%増となり、市場予想の1%増をはるかに下回った。寒気、ドル高化、原油安によるエネルギー関連企業の支出減少見込みなどが、いずれも第1四半期経済が予想を下回る結果となった主な要因であったと言える。第1四半期の経済成長が思わしくなかったことに対し、経済活動を反映するダウ輸送株指数がすでに弱勢を示していたため、筆者はとくに意外性を感じていない。寒気が過ぎ去るにつれ、最近では米ドルがやや安くなり原油価格でも底打ち上昇が見られるため、次の四半期経済は前期よりも好転の見込みがあるだろう。米国の先行きを調べたい場合、投資家はダウ運送指数のこの先のパフォーマンスに多くの注意を払うと良いだろう。もし指数に比較的弱いトレンドが続いた場合は、たとえ次期経済が改善しようとも、将来的な懸念はまだ残されると言える。
最新の米FOMC声明において、FRBは経済パフォーマンスに影響している短期的要因について言及した上で、経済および雇用市場のさらなる改善を待ってからようやく利上げを行うとした。全体的に、FRBの今回の新たな声明内で採用された語句や語調は前回の声明と大差無い。金利先物では米国が6月に利上げをする可能性はゼロに近いと示されており、市場ではFRBの利上げが早くとも年末になる可能性が高いと見ている。来年には米国の大統領選挙が控えており、もし年内の利上げが見送りとなれば、FRBは総選挙後になってようやく利上げを行う事になるかもしれない。
短期先行きで米利上げが見込めなくなったため、米ドル指数は弱化し、ユーロや円などが上昇している。ユーロと円はキャリートレードの資金調達に使われる通貨であるため、米ドルの下落傾向は恐らくキャリートレードの巻き戻しを誘発し、世界の株式市場の短期パフォーマンスの悪材料となりそうだ。しかし、欧州および日本の中央銀行は金融緩和を維持しており、その上市場では年内の米利上げの可能性が高いと見られていることから、米ドルは調整一巡後に再び強勢となる見込みがある。だが米ドルが調整後に再上昇したとしても、以前ほどの強勢とはならないだろう。その要因は2つ挙げられる。まず第1に、最近の指標でユーロ経済に改善の兆しが示されていること。そして第2に、ワシントン政府が米ドル安に便乗した輸出の刺激を望んでいる事だ。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
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