国債利回り上昇で株式市場に調整誘発か

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国債利回り上昇で株式市場に調整誘発か

[2015年5月20日]

A1米FRBのイエレン議長は、現在の米国株はかなり高い水準だが、まだ資産価格バブル形成の兆しは見られないとしている。このほかにもイエレン氏は、金融リスクはまだ抑制可能であるものの、シャドーバンクの監督が必要であると指摘し、利上げは長期国債利回りを急騰させかねないと警告している。事実上、米国株の「スロー・ブル相場」はすでに長年渡って続いており、S&P500種の現在のPER(株価収益率)は18倍台に達している。米国株は成熟市場であるため、PER18倍は確かに安くない。しかし、PERがまだ危険水準に達しておらず、加えて低金利環境が株式市場を比較的高い水準となるよう下支えしていることから、筆者はイエレンの見解に賛成で、米国株は高水準であるものの、バブルはまだ無いと言えよう。株価が再び下がらない以上、米国株の今後の相場は、過去数年のような上昇トレンドの再来は難しいだろう。

米国がいつ利上げに踏み切るのかは依然未知数だが、ひとたび利上げとなれば、米国株から世界の株式市場に至るまで、大きなショックを受ける事になるだろう。低金利環境下で、企業や個人の借入費用が比較的安く、借入費用の低下が企業の評価向上に役立ってきたため、株式市場は上昇トレンドを維持してこれた。利息が通常の水準に戻れば、借入費用の上昇に従って、株式市場は再評価されると見られ、この評価が下がれば株式相場の調整を誘発することになろう。

いつ米国が利上げを行うか不明であるものの、多くの国々のソブリン債が近いうちに大規模に売却されるため、米国、ドイツ、日本、インド、韓国などの国債でいずれも表面利率が顕著に上昇している。米国10年債の表面利率では、先日0.2%以上の水準で反発しており、30年長期債では更に0.3%を突破している。債券市場からの資金流出に対し、市場ではまだ統一した見解は出ておらず、「原油価格の反発や、デフレ懸念低下」と関連するとの見解や、ギリシャ債務問題に夜明けの兆しがあることも要因の一つだとする声もある。注意すべきは、国債利回りが継続的な上昇は、米FRBに利上げへの圧力を高め、株式相場にとってマイナス影響を及ぼすだろう。米国では、ローン金利が国債利回りと連動するため、国債利回りの上昇が、借入費用までも上昇させてしまうのだ。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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