- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2015年6月10日]
中国5月の政府版製造業PMIは50.2となり、4月から0.1上昇、6カ月ぶりの高値を更新した。PMIが依然50を上回っており、製造業のある程度の拡張を反映してはいるものの、やや低水準の数値であるため、中国本土の製造業の先行きは依然として不安視されている。各種指数の中でも、新規輸出受注指数及び輸出指数はいずれも臨界点を下回っており、製造業の輸出がなおも厳しい状況であることが反映されている。政府版製造業PMIの不振に加え、5月のHSBC中国製造業PMI確報値も同じく低調で最新の数値は49.2となっており、製造業の縮小が反映されている。
企業の規模の分類で見ると、小・大・中企業のPMIはそれぞれ47.9、50.7、50.4となっており、中国本土の小型・零細企業の経営状況が、大中型企業に及ばない事が反映されている。過去数年、中国政府は常々小型・零細企業を支援する政策を行ってきたが、データには小型・零細企業の経営状況が今なお非常に厳しいことが示されており、政府がこれまで推進してきた資金調達の緩和措置が理想的な結果となっていないことが反映されており、政府は小型・零細企業のために資金調達を支援するより多くの政策の打ち出しが必要となろう。
新規輸出受注指数の反落から、諸外国経済の衰退がうかがえる。諸外国からの需要が好転しない状況が続いているため、中国製造業は短期先行きでの著しい好転は望みにくいだろう。欧州や日本の経済不振は目新しい事態ではなく、筆者が懸念するのは米国経済が下り坂となる可能性だ。これまでのコラムで、米国経済活動を反映するダウ輸送指数に弱勢が見られると指摘したことがあるが、この指数は最近さらなる弱化の兆しがある。輸送指数の反落は米国経済弱化の可能性が高いこと示している。これまで、市場では米FRBによる利上げ時期に焦点が集まっているが、実のところ、経済下落と比べれば、利上げはさほど恐ろしいことではなく、経済が再び正しい軌道に回復した後に、米国は利上げを選択肢に加えれば良いだけなのだ。近年、米国経済は着実に景気回復の印象を人々に与えてきたが、ひとたび経済下落に反転したと認識されれば、悪材料となって市場はダメージを受け、世界的経済危機の再来が懸念されることになろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
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