株式投資家の自殺で浮き彫りとなるA株リスク

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株式投資家の自殺で浮き彫りとなるA株リスク

[2015年6月24日]

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先日、鉄道車両メーカー中国中車(01766)のA株で急騰からの大暴落がおこり、中国本土の株式投資家が自殺したとの報道があった。この株投資家は、中国中車が合併再上場後に連日急落した結果、4倍ものレバレッジをかけて投じていたことが仇となり、何よりの財産であるその命で代償を支払うこととなってしまった。この惨事から、リスクコントロールをよく理解しないままでの信用取引の恐ろしさがうかがえる。社会に身を投じてから、筆者はすでに何度か株式市場の危機を経験しているが、株式市場の危機においてその要因の大部分は、株式投資家達による狂気的な投機熱やリスクの見落としが関係している。筆者から見れば、多くの中国本土の株式投資家は、きわめて低評価な銘柄を信用取引で高騰させてしまうことの潜在的リスクなど、リスクに対する意識が明らかに欠落している。

A株が強いブル相場を見せる中、ますます多くの人々が株取引で富を得たいと渇望しており、より大きなリターンを得ようと、信用取引に手を出す株式投資家も少なくない。信用取引のほかにも、不動産や車、ビジネスまでも売却し、その資金のすべてを株式市場へ投じてしまう者までいる。筆者の中国本土の友人は「今の中国本土は、また人々が働かなくなり、毎日みな株にかまけている」などと話す。友人の話はやや大げさであろうが、中国本土の株式市場の狂気性がうかがえる。

 中国政府からすると、A株がファンダメンタルズを欠きつつも大幅上昇することに積極的になる意義がある。例えば資産形成が可能となる効果や、企業がさらに融資を得られやすくなることなどが挙げられる。しかし投資家達の動きが理性を失いつつある場合、政府は株式市場に対する政策を改めて検討するべきであろう。A株の大時代において、商売のために、むやみやたらと株式投資家に資金を貸し付けて株価を高騰させるような金融機関も散見され、もし抑制が効かなくなれば、悲惨な結果を招くだろう。近月では、中国証券監督管理委員会(中証監)が市場の変化に応じて絶えず信用取引の規制を調整している。例えば多くのGEM市場(創業板)の銘柄が場外からの資金調達で行われる「マージン取引」によって投機的に売買されているため、場外での資金調達行為を禁止した。中証監が場外での資金調達に待ったをかけたことで、GEM市場には重い圧力がかかっている。混乱をしずめ正常化させる過程で、株式市場のダメージは避けようがない。この先も投機銘柄で負けてしまった投資家が、命までも失うケースが続く可能性が懸念される。 

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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