A株先行きは、経済好転の兆しで左右か

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A株先行きは、経済好転の兆しで左右か

[2015年7月2日]

T1CSRC(中国証券監督管理委員会)による信用取引の規制が続く中、近日のA株はやや深めの調整が出ている。昨年11月からのA株続伸で、マージン取引はすでに一般的なものと化している。場外での資金調達により、レバレッジは9~10倍にも達しているとする報道もあり、もしこれが事実であれば、中国本土の投機熱がすでに狂気的な領域に踏み込んでいるのは明白だ。日増しに投機熱が高まるなか、収拾がつかない事態へ発展するのを防ぐために、CSRCが場外での資金調達を差し止めるのは正しいやり方だと言えよう。

また、A株のここ半年あまりの上昇は、主に企業改革に対する投資家の楽観視や、中国人民銀行の「放水」(金融緩和)などに基づくものだ。A株が急上昇を見せる間、中国経済はと言うと、まだ好転の兆しが見られないばかりか、下落傾向がさらに拡大している。ファンダメンタルズによる支持を得られないままで、A株がこれ以上上昇すればより大きなバブルリスクをもたらす恐れがある。中国本土の長期的利益を考慮すれば、A株にまだ深めの調整が入っていないのは、好ましい事ではないのだ。

A株のここ半年の急騰と最近の急落によって、中国本土での国策の特徴が突如浮き彫りとなった。これは中国政府が近年積極的に市場を開放するとしつつも、A株のパフォーマンスが依然として政策の方向性によって大きく左右されていることを物語っている。もし株式市場に見えない手がしきりに現れるのであれば、外資の中国株式市場に対する信頼感に影響を及ぼす事になるだろう。となれば、A株のMSCI早期組み入れに不利となり、「上海香港ストックコネクト」や証券投資ファンドの相互販売などの政策の効果も影響を受ける事になるだろう。

間もなく下半期に突入するが、中国本土経済が安定回復のシグナルを出せるか否かが、A株に再び強勢が出るかを左右するキーポイントとなる。以前のA株上昇幅は、主に株式投資家による中国の政策への期待感を反映したものであるため、もし続けざまの政策打ち出し後も依然として中国経済に好転の兆しが見えない場合、株式投資家は中国政府が経済を救済する能力がなく、これまでの言論が空論に過ぎなかったとみなすかもしれない。ひとたびこういった失望情緒が湧き出せば、A株相場が再び強勢となるのは難しいだろう。総じて、期待感は一定期間株式市場を牽引できるであろうが、「スローブル」相場となるにはファンダメンタルズとのつながりが必須と言えよう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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