経済の実績不一致で株価暴落の元凶に

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経済の実績不一致で株価暴落の元凶に

[2015年7月15日]

A1ここわずか数週間で、上海総合指数は高値から三割もの暴落となった。株式市場の大暴落に直面し、CSRC(中国証券監督管理委員会)は連日救済措置を行ったが、こういった中央政府による市場介入に対し、数名の経済学者からは抗議の共同声明が上がっている。政府が株式市場を支援しようとする意図は明らかであったものの、その後も暴落を止めることはできず、投資家が政府に対する信頼をすでに失っていることが反映されている。人々が怯える中、A株相場は依然として底値が見えてこない。たとえ下げ止まりを迎えても、しばらくの間A株相場が以前のような強勢を取り戻すことは難しいだろう。なぜなら株式市場の暴落によって「蟹民」(塩漬け株を抱えて身動きが取れない投資家を、縄に縛られて売られている蟹に例えて)が大量に製造された可能性が高く、株式市場が反発するごとに、「蟹民」が塩漬け株を売却し「縄を解く」機会を得ようとするため、これがA株の今後のパフォーマンスを抑制することになるだろう。

中にはA株暴落の責任をCSRCが実施する信用取引規制になすりつけようとしている者もいるようだ。もちろんレバレッジングはA株暴落の要因の1つであるが、筆者は、中国が株式市場の上昇に相応しい経済状態になれなかったことが問題の核心であると捉えている。A株上昇の波は昨年11月の人民銀行の利下げから始まり、政府系メディアによる宣伝効果も後押しとなって、株式市場上昇の勢いはますます収拾がつかない状態となっていた。A株暴騰の期間、中国本土経済にはまだ好転の兆しが見られないどころか、更なる下落傾向の兆しが見られたため、ファンダメンタルズによるサポート不足の中、A株急騰はついにバブル問題をもたらしてしまった。中でも、創業市場のバブル問題は最も深刻なものとなっている。短期的には、株式市場のパフォーマンスがファンダメンタルズと相反する動きになることもあるが、長期的なトレンドはファンダメンタルズが伴っている必要があるため、A株が急騰後に暴落してしまうのは、株価が合理的な水準を回復するための過程の一部と言えよう。

A株の以前の「狂気的ブル相場」は政府の煽りが間違いなく影響しており、もし政府がそこまで大きく宣伝活動をしていなければ、狂気的な上昇もなければ、今回の市場崩壊も起こらなかっただろう。政府の責任は、市場の順調な運営や、公平な状況で取引が可能となるように維持することである。元来、株式市場の宣伝活動など政府の役割ではないのだ。市場を混乱させる情報を与えることのないよう、相場の上下に関係なく、政府は不必要な関与を控えるべきなのだ。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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