中国A株回復のあとは経済刺激で伸びしろ提供か

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中国A株回復のあとは経済刺激で伸びしろ提供か

[2015年8月19日]

A1中国7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.6%増で9カ月ぶりの高値を更新し、一方で生産者物価指数(PPI)は前年同月比5.4%低下と、ここ5年半で最大の下落幅となった。CPIは9カ月ぶりの高値となったものの、豚肉価格上昇の影響を除けば、中国本土は依然としてデフレの脅威に直面している。PPIでは、世界で大口商品の価格下落および内需の弱化が生産物価の継続した下落を誘発しており、経済失速リスクがまだ低下を見せない中、PPIはこの先更に下落する可能性がある。物価指数のほか、最新の貿易統計でも中国経済の継続的な不振が示され、7月の輸出・輸入はそれぞれ前年比8.9%減および8.6%減となっており、海外市場あるいは国内自身に関わらず、おしなべて需要が弱いことを反映している。

こういった現在の経済環境に直面し、中国はより多くの経済刺激措置を打ち出さねばならない。中国人民銀行(中央銀行)が継続して政策金利や預金準備率の引き下げを行ったり、中国政府が各政策の実施を加速させることは、とうに必然的な流れとなっている。しかし、中国経済を「否極泰来」(不運が極みに達すれば、次に好運がめぐってくる)としたいならば、単に中央銀行による「放水」(金融緩和)や経済刺激措置に頼るばかりでは十分とは言えない。なぜなら現在の中国本土経済の困難な局面は構造問題がもたらしたものであるため、構造問題を解決するべく、政府は改革のペースを速める必要にも迫られている。改革は非常に痛みを伴うものであり、どのような効果が得られるのか、いつ効果が出るのか、すべてが未知数だ。改革の効果が現れるまで、中央政府はあらゆる手段で経済下落を阻止またはペースダウンさせるほか無いだろう。

近月はA株の救済が中国政府の最重要課題となっており、各方面から全精力を傾けて市場救済を行うなかで、政府は経済弱勢に適切に対処する余裕が根本的に無いと言える。A株が回復するにつれ、政府は精力を集中して経済刺激を行いたい考えだ。少し前に、中国は一兆元規模の債券を発行しインフラ整備事業を支持する方針を固めたことや、国家環境保護の「第13次5カ年計画」(十三・五計画)が第4四半期に公表される見込みとの報道もあり、上述の様々な情報は、いずれも中国政府が徐々に作業の焦点を経済発展の段階に戻しつつあることを表している。A株相場に再び6、7月のような暴落さえ起こらなければ、中国政府は今後さらに多くの経済刺激策を打ち出すことが予想される。

 

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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