- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2015年8月26日]
ここ2、3カ月、中国本土では市場を揺るがす実に多くの問題が発生している。A株危機の勃発に始まり、その後中国政府による強引な市場救済策が実施され、続いて中国人民銀行(中央銀行)も強引に人民元の引き下げを行った。相次ぐマイナス材料が、中港市場の投資家からの信頼度にダメージを与えたことは、両株式市場の出来高萎縮や相場反転の様子からも見て取れる。株価上昇に有利となる材料の不足と薄商いがといった状況の中、中港の株式市場はしばらく好パフォーマンスを出すのは難しいだろう。
株式市場の安定という面で見れば、政府の強引な救済策は成功と言える。しかし「エントリーは容易だが、手仕舞いは難しい」ことから、市場では中国政府が今後どのように撤収していくのかに関心が集まっている。少し前に、CSRC(中国証券監督管理委員会)は今後数年手仕舞いはないと示していることから、政府が今後もA株の成長を継続して注視し、もし異常な取引が発生した場合には、政府の干渉が入る可能性を物語っている。CSRCがこの先数年は手仕舞いしないことで、ある程度市場の情緒は落ち着くだろうが、政府が遅々として市場に居座れば、A株国際化の過程にマイナス影響をもたらす恐れがあるだろう。
これまで、人民元は上昇するばかりで下落知らずといった印象を人々に与えてきた。突然の引き下げに、人民元の動きに根本的な変化が起きているのではと疑われており、市場では人民元が下降周期に入った可能性に関心を寄せられている。為替レート改革以降、多くが改善されてきたものの、人民元の基準値は依然として人民銀行による制御が行われている。それゆえ、人民元安が傾向的なものとなるか否かの焦点は、政府の態度次第となっている。どうあれ、確かなことは人民元が二方向に発展する時代に踏み入ったということだ。
人民元が突如強引に引き下げられたことを受け、アジアに再び金融危機が勃発する可能性を危惧する声もある。否定できないことに、人民元安はすでに弱々しかったアジアの通貨にさらなる圧力をもたらしているものの、人民銀行は人民元安は傾向的とはならないと表明しており、加えてアジアの国々や企業の現在の財政状況は98年の金融危機に比べて明らかに健康的であることから、アジア金融危機再来の可能性はひとまず高くないと言えよう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
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