- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2015年9月22日]
少し前に、李克強首相は中国経済がハードランディングとなる可能性は無く、人民元が長期的な下落となる要因は無いとした。頻繁に市場へ「安定剤」を投入しているものの、中国・香港の株式市場では未だ李氏の言うような顕著な上昇は見られず、中国本土経済の先行きに対し依然として市場から警戒心を持たれていることが反映されている。事実上、最新発表の貿易および物価指標では、いずれも経済鈍化の様子に変化が無いことが示されている。経済改善の兆しが現れるまで、中国政府からの安定維持発言は、中港の株式市場にさほど大きなサポートにならない可能性がある。
A株を更に安定させるべく、中国は「ヒューズメカニズム」の実施を提唱している。ここで言う構造とは、上海・深セン300指数を基準とし、指数の上昇・下落幅が5%に達した場合に取引を30分間一時停止し、またもし上昇・下落幅が7%に達した場合、ただちに当日の取引を停止するというルールだ。株式市場が異常な変動をする際、売買を一時停止して、株式投資家をクールダウンさせることが取引休止メカニズムの主な目的であるものの、株式投資家の大部分が理性的ではないため、株式市場が大幅暴落となった際に売買を阻止してしまうと、多くの投資家の情緒をいっそう緊張させる可能性がある。ひとたび暴落が起こると、すぐさま株式市場が取引休止となる懸念が生まれ、投資家は株式の投げ売りを加速すると見られ、こうなると株式市場の下落傾向を激化させる恐れがある。
A株の暴落後、政府はあらゆる手段で株式市場の鎮静化を図ってきた。相次ぐ市場救済措置によりA株の機能は激しく削ぎ落とされている。株式市場とは企業を育成し成長させる揺りかごであり、投資家の財産を蓄積する場所でもある。だがもし株式市場が上述の機能を発揮しなければ、中国本土の経済成長および改革の足かせとなってしまうだろう。さまざまな制限を受ける中で、A株および株価指数の先物取引はピーク時に比べ著しく萎縮しており、投資家の金融市場に対する信頼不足を反映している。現在、中国本土経済は構造問題に直面しており、改革を遂行しなければ、経済に望みは生まれない。しかし政府が株式市場に様々な規制を実施している事から、中央政府の改革への決心は疑問視されざるをえない。市場からの信頼を再建すべく、政府は不必要な関与を減らすべきであろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
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