- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2015年10月5日]
中国の習近平国家主席は今回の訪米中、中国の改革は推し進め続けるべきであり、たとえ改革が明らかな「硬骨頭」(頑強な骨)であれ噛み砕かねばならないと表現し、改革こそが中国経済に突破口をもたらせると明確に指摘している。長年の急成長を経て、中国経済は多くの問題を貯め込んで来た。このため習・李体制の政権発足後は問題解決に向けて改革に尽力してきたにも関わらず、まだ効果が現れないままだ。改革の過程で、利益を得る者もいれば、改革による損害を被る者もいる。利益を損なう人々にとっては当然改革は望ましくない。順調に改革を推し進めるには、中央政府は各方面の利益のバランスをとる必要があるが、関連問題の調整は極めて困難で、下手をするとすぐさま更に大きな抵抗力を誘発することになろう。
最近では、アジア開発銀行(ADB)や、国際通貨基金(IMF)などの組織が相次いで今年・来年における世界の経済成長率見通しを下方修正した。そして世界的な経済減速の要因を、中国本土経済の減速が続いていることに責任転嫁している。いくつかの国際組織の予想では、中国本土の経済成長率が7%を割り込むと見ている。もし経済成長率が7%を下回れば、雇用情況が悪化に転じる可能性が高まり、同時に社会が不安定となる可能性がある。このため、中国にとって「保七(経済成長率7%維持)」が達成できるか否かは非常に重要なことだ。何よりも重要なこの大前提を確実にするため、中国政府は全力の切り札を使って「保七」を実現すると見られる。もし7%の経済成長率を維持できなければ、現在の市場の悲観的情緒を激化させる可能性があろう。
中国政府は今月「五中全会(中国共産党中央委員会第5回全体会議)」が、そして年末には経済工作会議が予定されており、加えて来年は「十三五」(第13次5ヵ年計画期間)の開始年となっている。中国政府がこの先の経済動向に対し、どのように調整を行っていくのかが世界の焦点となるだろう。中国政府による甚大な市場救済措置や突然の人民元切り下げを経て、中国経済の市場開放が逆行しているのではと懸念する声も有り、市場からの信頼を再建することは、中国政府にとって重要タスクの一つとなってしまった。訪米期間中、習近平国家主席は、中国は更に国外からの投資規制を緩和すると発言しており、市場懸念の一部解消を後押しすると見られる。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
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