中国の債務問題が今後も世界の焦点に

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中国の債務問題が今後も世界の焦点に

[2016年3月17日]

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(CHINA GOVERNMENT DEBT TO GDP  中国GDPに対する政府債務)

格付け機関ムーディーズは、中国の信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」へ引き下げると決定。政府債務の増加や、継続的な資本流出、外貨準備高の減少などを主な要因としている。その他、ムーディーズは中国内の複数の金融機関の格付け見通しも「ネガティブ」に引き下げており、その理由を政府の財政弱化によって金融機関への支援提供が難しくなることが懸念されるためとしている。ムーディーズのやり方に、中国の政府系メディアは当然反発しているものの、BIS(国際決済銀行)のデータを参考にするならば、ムーディーズの懸念も全く道理が無いとは言えない。BISの予想では、昨年第2四半期末の時点で、中国非金融企業の債務の対GDP比が160%以上となっており、欧州と日本の約110%や、米国や英国の約70%を遥かに上回っている。

中国経済の下振れ圧力および資本流出が持続するなか、中国内の債務問題が今後も引き続き世界からの焦点になるだろう。事実上、中国の地方債務問題は近年ひたすら市場の関心を集めてきたため、中国政府もすでに問題解決にむけた措置を打ち出している。幸い、中国の対外債務規模は対GDP比で1割半ほどで、やや低水準に属するため、ムーディーズによる中国の信用格付けの引き下げが現段階で中国本土経済に重大な影響をもたらすことはないだろう。しかし、もしムーディーズが更に動き、例えば中国をネガティブ観察リストに位置づけるか、直接的に中国の債務格付けの引き下げを決定した場合には、現状よりも大きく経済ダメージを受ける事になろう。

通常、格付け機関がある国家をネガティブ観察リストに入れた場合、その国の債務が以後に格下げとなる可能性は半々だ。ひとたびムーディーズが中国の債務の信用格付け見通しの引き下げを決定してしまえば、国家・企業に関係なく対外債券の発行コストが上昇し、債務利息の支出も増加する中、国と企業はすぐにでも更に大きな財政圧力を受ける事になるだろう。また、一部の債券ファンドでは一定の格付けの債券だけに投資するよう定めているため、もし中国の信用格付けが、ファンドの規定に満たないほど引き下げられてしまった場合、ファンドは関連債券を売り払わなければならず、こうなると債券市場へのダメージが投資家に損失をもたらす可能性があるだろう。

 

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。) 

 

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