3大要素がリードする6月の市況

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3大要素がリードする6月の市況

[2016年6月14日]

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5月を振り返ると、ハンセン指数は252ポイント下落し、この5月は「太窮」(大いに窮する)*相場とはならなかったと言える。6月に入ってからは、株式市場が「六絕」(息絶える6月)を試みるかどうかが投資家の焦点となる。今年の6月は容易とは行かない。今月は留意すべきポイントが実に多く、中でも3つの重要ポイントがことさら注視すべきとなる。その3つとは、MSCIが中国A株を構成銘柄に採用するかどうか、米国が利上げを行うか、英国がEU離脱となるかだ。もし、A株がMSCI採用銘柄入りとなれば、中国と香港の株式市場が勢いよく上昇する見込みがある。しかし、香港株式市場は過熱後、値戻りの動きとなる可能性に注意が必要である。その原因はA株のMSCI採用銘柄入りが長期的には香港株式市場に流入する資金を減少させることになるからである。一方、A株のMSCI採用銘柄入りが見送られ現状維持となれば、失望的な感情は起きようが、中国・香港の両株式市場に対する影響はニュートラルなものが主となろう。

* 香港株式市場では「五窮六絕七翻身」(5月に窮し、6月に息絶え、7月に蘇る)という投資格言がある。

中国A株のMSCI採用銘柄入りというポイントに比べ、米利上げは更に重要だ。世界的な資金の流れに変化をもたらすものとなろう。世界的に見てみると、米国の政策金利は正常化段階にある。また、欧州、日本や中国は低金利となっており、この局面が短期的に変わることはない。米国が一旦利上げを実施すると、利率差がサポートとなり、米ドル高の流れは維持されよう。もし、資金が米ドルへ一方的に流入となれば、新興国市場等で、更なる資本の引上げが起こるだろう。このほか、強すぎる米ドルが米国の輸出及び米企業の業績にダメージを与え、米国株式も圧力を受けることとなる。今年初めの利上げ観測により米ドル為替指数が100に上昇したが、この米ドル強勢は1月、2月の世界の株式市場で暴落を引き起こした要因の一つとなった。年明けの状況が再び発生する可能性については注目すべき点となろう。

次に英国のEU離脱であるが、英国経済が影響を受けるほか、EUの体制にもダメージが及ぶだろう。現在の分析では、EU離脱が英国経済にとって好・悪影響共にあり、明らかな見通しが立たない状況で、その影響はまず英ポンドに発生するだろう。英ポンドは世界の主要通貨の一つであり、英ポンドの大幅変動はマーケットの不確定要因を増加させ、投資雰囲気にダメージを与えてしまうだろう。 

 テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

 

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