ソロス氏復帰に深読みは不要

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ソロス氏復帰に深読みは不要

[2016年6月28日]

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最近のある報道によると、世界3大投資家の一人、ジョージ・ソロス氏が経済先行き弱気を理由に現役復帰を決定し、そして自ら一連の空売り取引の采配をしているという。ソロス氏は世界的に著名な投資家であるため、彼の復帰報道はそれなりに市場の関心を集めているものの、金融市場がこの要因によって次々と揺さぶられてしまうかどうかは、次の二つのポイントが決め手となる。まず第一に、ソロス氏の復帰が大規模な空売りを兼ねているとするメディアの報道を投資家たちが信じるかどうか。そして第二に、市場危機を誘発させられるほどの確実な理由が一つでもあるのかどうかだ。

ソロス氏が管理するファンドは巨大な規模であるものの、世界の金融市場の規模と比べれば、ソロス氏のファンド規模は氷山の一角にとどまる。ゆえに、単にソロス氏の力のみで世界の金融市場に大激震を誘発させるほどの可能性があるとは限らない。しかし、もしソロス氏の世界的な経済先行き悲観に賛同し、投資家達が先行き悲観および空売りに次々と追随していけば、巨大な市場の力によって十分に金融危機を生み出してしまえるだろう。

現在、世界の市場の至る所が「爆弾」だと言える。米国の利上げ、債券市場バブル、中国経済が低迷を脱していないことも含み、その中の1つでも「爆弾」が爆発すれば、ソロスとその弟子たちは金融市場で存分に空売りの買戻しに動くだろう。ソロス氏にとって、現状は「万事倶備、只欠東風」(すべての準備が整い、きっかけを待つのみ)だが、「東風」が吹く可能性があるのかこそ予想が難しい。

もしソロス氏が凄腕のファンドマネージャーであるならば、反対する者はいないだろう。しかしその他の著名投資家と同様に、ソロス氏にも「大失敗」の過去がある。1998年に、ソロス氏のクォンタム・ファンドは報道によるとロシアへの投資で20億米ドルの損害を受けた。また2000年には、クォンタム・ファンドがハイテク銘柄を大量に買い入れ、同時にS&P500指数やオールドエコノミー関連の銘柄を空売りしたが、この采配がクォンタム・ファンドを全軍壊滅に至らせてしまった。上述の二つの時期は、ソロス氏の投資生涯において最も暗黒の時代だったと言えよう。つまり、ソロス氏の現役復帰報道について、投資家は深読みをする必要は無く、やはり最も重要となるのはリスク管理をしっかりと行うことに尽きるだろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

 

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