トランプ氏勝利で変動起こる可能性

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トランプ氏勝利で変動起こる可能性

[2016年7月20日]

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英国の「EU離脱」による不確実性が金融市場に大きな変動を誘発した。国民投票結果に法的拘束力は無いものの、民意を尊重するべく、英国議会は「EU離脱」に向けた手続きを開始させないわけには行かないだろう。また、英国は民主国家であり、国民投票結果は国民の選択を反映していると見なされるため、2回目の国民投票実施を求める署名が数百万にのぼるとしても、英国は再投票実施を容易く発言できるはずがない。さもなくば、英国の国際的イメージがダウンし、社会的な内部摩擦がさらに激化する恐れがある。つまり、英国の「EU離脱」はすでに最終的決定事項であると言える。

英国の政治と経済の先行きが不確定的であることを踏まえ、格付け機関は英国のソブリン格付けを引き下げた。これを受けて英国企業の債務コストが重くなり、先行きが悪化しつつある英国経済にとっては泣きっ面に蜂となる。英国の「EU離脱」はスコットランドや北アイルランドにおける「EU離脱」情緒を触発しており、両地が国民投票を実施して国民に「英残留」の是非を決定させる事が予想される。もし「英離脱」陣営が勝利すれば、英国は崩壊し、格付けが更に引き下げとなるのは間違いない。英国「EU離脱」が誘発する一連の問題は決して単純な経済問題ではなく、複雑な政治争いにも影響を及ぼしており、まさにこれが、英国「EU離脱」が金融市場にもたらす影響への評価を難しくする要因となっている。

下半期に入り、米国大統領選があらたな「ブラック・スワン」(誰しも予想しなかった危機的現象)を生み出す可能性が出てきた。劇的な変化でも現れない限り、米大統領選はトランプ氏とヒラリー氏の一騎打ちとなるだろう。トランプ氏の言論はしばしば炎上しており、常識的に推測すれば、ヒラリー氏がホワイトハウスの新たな主人になる可能性があると言えるが、人々の心理は変化を望んでおり、変化を望む情緒がある以上、狂人のような印象を与えているトランプ氏がヒラリー氏を打ち破る可能性は捨て切れない。事実上、人々の変化を望む情緒は意外な結果を招きやすく、「EU離脱」支持者が英国民投票で勝利してしまったことは最もこれを表している事例だ。もしトランプ氏が新大統領となった場合、米国の先行きは不確実となり、世界のマーケットで楽観視できるようになる機会がまたもや遠のくことになろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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