社会問題と温暖化問題が経済成長を抑圧か

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社会問題と温暖化問題が経済成長を抑圧か

[2016年9月14日]

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8月の米非農業部門雇用者数が予想を下回り、9月の利上げの可能性が低下。これを受けて香港の株式市場は勢いに乗りレジスタンスを突破、短期で24000ポイントの水準で推移。世界の各主要経済体系の中でも、近年における米国経済は最も安定しており、米国経済によるサポートを受け、世界経済は最悪の状況を免れている。しかし、最近のいくつかの経済指標によれば、米国経済には潜在的な懸念が存在している。雇用統計が予想を下回ったほか、第2四半期の民間在庫品増加の成長率への寄与度が半年ぶりのマイナスへ、8月の製造業PMIも今年初の縮小水準に下がったことから、いずれも米国経済がある程度弱勢に転じていることを反映している。もし米国経済が本当に弱化に転じているならば、すでに強いとは言えなかった世界経済は必ず圧力を受けることになるため、そうなれば例え米国が利上げをせずとも、経済見通しが嫌気されることにより株式市場が反落する可能性が高まる。

リーマンショック以降、世界の主要な中央銀行はいずれも超量的緩和政策で経済刺激を行ってきたが、情況は今だに変化しているだけでなく、輪をかけて激化しており、中でも英国・欧州・日本ではこの先更に量的緩和の規模を拡大する可能性が高い。投機的資金があふれる中、資産価値の高騰や、貧富格差の拡大といった問題が世界の多くの国々で見られている。本来、金融緩和策実施の目的は経済救済であるものの、解決困難な社会問題を生み出し続けているのが現状だ。もし中央銀行が政策をうまく調整しなければ、問題は悪化するばかりとなる。社会変動が安定しないなかで、ポピュリズムの勢いは更に頭うちになると見られ、経済が安定成長に行き着くのは、決して簡単にはいかないだろう。

経済および社会問題のほか、世界中で異常気象の脅威への対応が迫られている。温室効果ガスの排出量削減の目標実現に向け、各国はある程度経済成長を犠牲にしなければならないが、世界中が万事において利益を重んじる昨今、いったいどれほどの国があえて経済成長を減速させると言うのだろうか。G20サミットで、2大温室効果ガス排出国である中米が共同で温暖化対策「パリ協定」を批准したが、今回の画期的な協力がみごと大幅削減へと繋がるかは様子見となる。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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