中国不動産市場加熱の要因は一つにあらず

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中国不動産市場加熱の要因は一つにあらず

[2016年11月2日]

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最近、市場では中国不動産市場の加熱ぶりが再注目されている。不動産市場の異常な盛況ぶりは人民日報ですら批判記事を発表しており、近月における不動産市場の動きがすでに中国政府の注意の対象となっている事がうかがい知れる。不動産市場と経済成長には密接な関係があり、もし政府がまた強硬手段をとって不動産市場をクールダウンさせた場合、経済成長も圧力を受ける恐れがある。しかし、もし政府の制御能力が不十分であった場合、不動産市場はさらに加熱してしまい、社会に不穏をもたらすだけにとどまらず、不動産市場のバブル崩壊が中国本土経済に更なるカタストロフィーをもたらす恐れがある。このため、政府が不動産市場、そして経済成長と社会安定のはざまでどのようにバランスを取っていくのかが注目すべき点となるだろう。

中国本土の不動産市場では「恐慌性買い入れ」の現象がおきており、その背因として「多い資金、少ない投資選択」という点がある程度関係している。中国A株への投資で、投資家は昨年暴落と急騰を経験した。株式市場はすでに安定しているものの、パフォーマンスには疲労がうかがえる。比較してみると、上昇の一途をたどる不動産市場は非常に理想的にうつるだろう。より良いリターンを追求するため、本土住民が資金を不動産市場へ向かわせようとする誘因は確かにある。不動産市場問題を解決するべく、中国は投資選択を増やし、資金の流れが効果的になるよう誘導すべきだろう。

不動産価格の高騰や民衆による「不動産買い争い(搶楼)」問題は、不動産市場に山積みとなった問題の一部分にすぎない。不動産市場を正しい軌道に戻すには、中国は必ず不動産市場の全面的な構造整理を行わなければならない。地方政府の財政は不動産の収益に大きく依存しているため、もし収入源を拡張することができれば、地価が下がる可能性が生まれてくる。そうなればようやく不動産価格がより合理的な水準にもどる見込みがあるだろう。そのほか、金儲けのためだけに、一部で住宅建設向けではない土地が開発されているが、例えば田畑用地が住宅不動産開発に用られた場合、田畑数の減少が長期的には穀物供給に影響を及ぼすことになるだろう。このように計画性を欠いた住宅不動産開発が、中国の不動産市場の極端な相場や、中国一級都市の至る所での「不動産買い争い」騒動、中国各都市での「ゴーストタウン(鬼城)」の出現を招いているのだ。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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