- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2017年4月19日]
オバマ政権時代に未解決であったシリア問題に対するトランプ米大統領の批判が耳に残るなか、先日米国は突然シリアへ60発近くものミサイルを発射し、これを受けて金融市場は変動を引き起こした。米国防当局者が今回の軍事行動が1回限りであると明らかにした後、金融市場はようやく安定を見せた。好戦的であることは共和党の従来からのスタンスで、ブッシュ父子の政権時も、米国はイラクやアフガニスタンと戦争を始めたことがあるため、狂気的な印象をもたれているトランプ氏が今後も他国に対しより多くの軍事行動を取るかどうかがにわかに市場の焦点となっている。
現在、最も市場の関心を集めているのが、米国が北朝鮮へ軍事行動を取るか否かだ。米中首脳会談の前に、もし中国が北朝鮮問題上で協力を行わない場合、米国は自国で北朝鮮問題に対処する行動をとるだろうと、トランプ氏はすでに表明していた。トランプ氏が就任してから選挙時の公約を逐一実施しているところを見ると、有言実行の人物であるようだ。もし中国が北朝鮮問題上で米国に応じなければ、米国が能動的に北朝鮮へ軍事行動を取る可能性があろう。もし北朝鮮が攻撃された場合、金正恩が反撃に出る可能性はきわめて高く、中でも韓国および日本は常に北朝鮮の鬱憤を晴らす対象となりやすい。そうなれば中国も北朝鮮の近隣であるがために、次なるターゲットとされてしまう可能性が出てくるだろう。
近年、中国による北朝鮮への影響力は以前ほど及ばなくなっており、中国が北朝鮮に対し核武装計画の放棄を求めることは難しくなっている。ひとたび米国が北朝鮮への攻撃を始めれば、中国の立場は一層苦しくなるはずだ。最終的に再び米国に抗い北朝鮮支援をするのか、それとも米国の行動を意のままにさせるのか、中国は選択のジレンマに陥ることになろう。中国共産党の政治局常務委員は今年入れ替えが行われるが、安定最優先の前提のもと、米国が北朝鮮問題に乗じて中国に一歩ずつ介入を迫る可能性がある。
地政学的リスクの高まりにつれ、投資情緒は短期でやや慎重となっており、一部の資金はよりディフェンシブ資産に流れ込むと見られる。中港の株式市場にとって、シリア問題がもたらす影響よりも、北朝鮮問題がもたらす影響のほうが間違いなく大きい。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
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