香港不動産市場のサポート要因は年内に変化の可能性

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香港不動産市場のサポート要因は年内に変化の可能性

[2017年8月17日]

香港不動産市場の「高騰」が止まらない。割引を控除した後でも、実用面積200スクエアフィート(約18.5平米)で600万香港ドル台(約8,400万円以上)の値をつける新築マンションも出ており、現在の不動産相場が非常に狂気的な状態に陥っていることが分かるだろう。不動産市場の現状に直面し、未だ不動産購入に踏み切れていない一般市民は引き続き静かに機会を待つしかない。この香港不動産市場の止まらない相場上昇のバックグラウンドは、金利、資金、不動産業者の予想などのいくつもの大要因との関連が切り離せない。このため、上述の要因に転換が現れるまで、不動産市場はこの先も狂気的な高騰が続いていくだろう。

2015年以降、米国は4度の利上げを行ったが、香港では資金に余裕があるため、香港内の銀行はこれまで利上げに追随しておらず、超低金利かつ投機的資金があふれる環境が不動産価格上昇を更に後押ししている。米国における年内の利上げ回数が2年間のペースより早まるにつれ、香港のライムレート(最優遇貸出金利)も今年の残りの期間で引き上げとなる可能性があり、停滞していた銀行体系内の資金が流出する可能性がある。米国が利上げする中、香港銀行間取引金利(HIBOR)もすでに上昇しており、香港と米国の金利差が一定になる際、資金が香港を離れる可能性があり、そうなると香港は利上げ圧力に直面することになろう。

絶えず上昇する不動産価格を目の当たりにし、多くの不動産購入者は早目に購入しなければ、この先すぐにでも更に値上がりした不動産価格を支払うことになると考えており、慌てて不動産を購入するという心理状態が、不動産価格の止まらぬ上昇をさらに促している。政府のデータによると、この先数年で住宅用不動産の供給量は徐々に増加するとしている。しかし、購入予定者によるこの先の不動産相場予測に、潜在的な住宅供給量増加を要因とした変化はまだ現れておらず、もしかすると顕在的に住宅供給量が増加した際に、ようやく相場予測に対し根本的な変化が現れるのかもしれない。不動産購入者による予測が変化するまで、列をなして不動産を購入する情景はこれからも続いて行くだろう。

近年、中国本土の不動産業者は積極的に香港へ南下し高額投資を行なっており、不動産価格の絶えない上昇で、すでに過熱していた不動産市場において火に油を注いでいる。もし中国資本が引き続き積極的に香港で不動産ビジネスを開拓する場合、香港不動産市場に短期で調整が出る可能性は難しいと見られ、中国当局が本土資本の香港投資に制限を設ける可能性に留意。

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

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