バランスシート縮小第1段による金融市場への影響は軽微

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バランスシート縮小第1段による金融市場への影響は軽微

[2017年10月24日]

米FRBは10月からバランスシートの縮小を開始。第一段階の縮小規模は毎月100億ドルとされており、その後は順次毎月の縮小規模を拡大していく。100億ドルは世界の金融体系においては非常に小さな規模で、その上欧州および日本は今なお債券の買い入れ中とあり、バランスシート縮小の第一段階による金融市場への影響は取るに足りないと言えよう。そのほか、米バンク・オブ・アメリカがFRBに預けている超過準備金が2兆2000億ドルに達しており、銀行はバランスシート縮小の影響を相殺するためにFRBにある資金の一部を引き出すことができる。一般的に考えられることとして、バランスシート縮が金融市場に影響を及ぼす場合、縮小された累積金額が一定規模に達したときにようやく目に見えてくるだろう。

FRBの予測では、米国は年末に一度の利上げ、来年に3回の利上げを行うとしている。この先の利上げ回数について、筆者はある程度の不確定性が存在すると見ている。なぜなら、米国のインフレ率が依然低迷しており、イエレンFRB議長が再任となる可能性も未知数であるためだ。近年の米雇用市場は好調であるものの、インフレ率はなぜか遅々として基準に達しておらず、その背景要因がはっきりしないままとなっている。インフレ率が低迷するなか、年末および来年にかけて4回の利上げを行うには、やや無理をしなければならないだろう。事実上、ここ数ヶ月、一部のFRBメンバーがインフレ目標に達していない中で利上げを行うか否かについて疑問を投げかけ続けている。

現状、FRBは多くの理事ポストが欠員となっており、トランプ米大統領の期待がかかる人物が欠員を埋めると予想される。そのほか、イエレン氏のFRB議長の任期が来年2月に終了となるが、トランプ米大統領はイエレン氏の仕事ぶりを批判したこともあるため、もしイエレン氏が続投とならなかった場合、トランプ氏は取り巻きの人物を後任に手配するであろう。トランプ氏は低金利とドル安政策を支持しており、もしトランプ氏が、FRB議員ポストに彼の支持者を配置させることに成功すれば、米利上げペースが現在よりもスローダウンすることが予想される。また、トランプ氏の就任後の言動が多くの論争を巻き起こしており、来年には中間選挙を控えていることから、FRBが政治的要因を理由に利上げ及びバランスシート縮小のペースを調整する可能性も排除できないだろう。

 

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

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