- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2017年11月6日]
ここ数年の空振りを経て、中国A株はついに「MSCI新興国株価指数への採用」に成功。しかし、この材料は今のところ中国・香港の株式市場に大きな刺激をもたらしていない。これはおそらく、MSCI指数採用の初期においてA株の比率が高くないことや、現時点から採用開始時期までまだしばらくの期間が空くことが関係している可能性がある。「MSCI指数採用」の初期段階において、A株がMSCI新興国指数に占める割合は0.73%となっており、韓国・台湾の株式市場と比べて明らかに低い。だがMSCIは、今後A株指数の比重を上げる可能性があるとも発表している。予想によると、A株「MSCI指数採用」の初期段階では、170億ドルの資金がA株買いの動きになるとしている。しかし、A株の日々の売買代金が数千億元であることと比べれば、170億ドルの資金流入は実際小規模だ。現時点では実情よりも意義の方が大きくなってしまっているが、A株の「MSCI指数採用」の長期的収益効果は、絶対に過小評価できないものである。
中国は世界第2位の経済大国として、一挙手一投足が全局面を左右する重要な地位にある。その上、A株の市場価格および取引量は米国株につぐ規模であるため、MSCIがA株を指数に組み入れないと言い通すことは実際のところできないのだ。事実上、とっくに多くのファンド・マネージャーはA株のMSCI指数採用の支持を表明している。それゆえMSCIの決定は、中国本土の成長に対応し、ファンド・マネージャーの需要を満足させたと言える。A株のMSCI指数採用は、正式な国際市場入りを表しており、A株の更なる改革推進を後押しすることになる。ますます多くの国際ファンドが中国に進出するにつれて、デリバティブ利用でヘッジを行う需要が増加するとみられ、中国本土のデリバティブ市場の発展を後押しするだろう。
A株のMSCI指数採用によって香港株式市場からの資金流出が誘発され、H株が圧力を受けるのではという声もある。これに対して、筆者は過度な懸念は不要とみている。なぜならA株がH株よりも著しい高騰を見せる時、割安のH株に資金が転じる場合も多いからだ。こういった価格差の要因が香港株式市場に安定効果を生むほかに、香港証券取引所(00388)の打ち出す改革案が実行されるか否かも香港株式市場の長期的発展に重要な影響を及ぼす。もし改革が全て実行されれば、香港株式市場の競争力上昇の見込みがあり、株式市場への資金流入が後押しされてプラス影響となるだろう。
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