米ドル高回復は株式市場の福に非ず

- テンガードホールディングスリミテッド

トップページ » スタッフコラム » 

スタッフコラム

米ドル高回復は株式市場の福に非ず

[2018年1月9日]

 

 

マーケットの予想通り、米FRB(連邦準備制度理事会)は17年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)において0.25%ポイントの利上げ決定を発表した。FRBの予測では、米国は18年に3度の利上げを行う見通しとしているものの、債券先物市場のトレーダーは2度の利上げになると予想している。18年の利上げ回数について、筆者は現時点での予測は時期尚早であると考える。なぜなら経済に影響を与える要因は極めて多いため、たった1つの原因が突如として起こす変化が米国金利の行方に明らかな変化をもたらすことになりうるからだ。18年の米国経済に影響を与える要因は、米朝情勢の進展、中間選挙、減税案が予測通りの効果を産んでいるか、そしてインフレ率などが挙げられる。

米ドル為替指数は17年初めに103の高値をつけたのち反落、91の水準まで下落が続いてようやくの反発となった。米ドル安の期間、新興国の株式市場は総じて好調を見せた。ユーロ及び日本円の2大通貨の国々がまだ利上げのタイミングではないため、米ドルが金利差において優位となっている。金利差が優位である中で、米ドルは18年に強勢回復のチャンスがあるものの、米ドル強勢は新興国市場の先行きに圧力をもたらす恐れがある。

米国企業にとって、金利上昇はランニングコストが引き上がることになり、もし米ドル高も進めば、企業が受ける影響が更に増大する恐れがある。減税は、利上げと米ドル高によって発生したダメージを軽減できるだろうが、減税の効果と利益は未知数であるため、経済の安定成長の維持を確保するために、米国政府がドル安政策の推進を継続する可能性が極めて高い。もし米ドル高を阻めなかった場合、FRBは利上げペースを減速する可能性が出てくるだろう。

米金利の上昇に従い、1ヶ月間の香港銀行間貸出金利(HIBOR)はすでに1%ポイント上昇している。一般的に、プライムレート(最優遇貸出金利)が1ヶ月のHIBORより3%ポイント高い場合、香港の銀行が金利を引き上げる可能性が高いと言われている。現状を見る限り、香港は来年中頃にようやく利上げを行うといったところだろう。市場では早くも利上げ予想が出ていることに加え、中国本土資金の香港への南下に変化もみられていない。このことから、資金の流れが明らかに逆転でもしない限り、利上げが香港の資産価格に大きな圧力をもたらすとは限らないと言えよう。

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

Share on LinkedIn
Pocket

お知らせ

  • テンガードからのお知らせ
  • スタッフコラム
  • 株式市場関連
  • よくあるご質問
ダイヤモンド社発行『ダイヤモンドQキュー』にてテンガードが紹介されました!

証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。

香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。

香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。