投機的裁定取引は損失リスクを伴う

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投機的裁定取引は損失リスクを伴う

[2014年7月7日]

AH価格差

最近、一部のH株が割安なA株と比べ大幅な上昇を見せており、大幅なAH価格差を狙った裁定取引が見込まれるが、投資家にとって油断は禁物で、盲目的な追随は損失を招いてしまう。そもそもA株とH株はそれぞれ独立した市場で取引されており、両方の株式市場において相互運用はできない上、中国と香港の投資家はマーケットや企業の材料に対して異なる見解を持つため、同一の銘柄であっても、それぞれの株式市場で株価の相違が発生してしまうのは至極正常な現象と言えよう。滬港通(上海-香港・ストック・コネクト)の開始が近づくにつれ、AH価格差が狭まることが予想されている。しかし、最近高騰しているH株を見てみると、一部のA株は深セン株式市場の銘柄であり、滬港通とはあまり関連していないため、投機筋は損失の発生に注意するべきであろう。

「滬港通」によるAH価格差の狭まりと言っても、如何にして価格差の狭まりが投機的リスクを招くのだろうか。AH価格差の狭まりには、三つのパターンが考えられる。第一に、一方の株式市場において割高となっている一部銘柄価格に変化が無く、もう一方の株式市場において割安となっている一部銘柄価格が反発し価格が近づく場合。そして反対に、割安側の株価に変化が無く、割高なもう一方が下落して価格が近づく場合。そして第三に、割安な一方が上昇すると同時に、割高な一方も反落する場合だ。これら三パターンの中で、どれが合理的に価格差を埋められるのかは実に判断が難しい。現在のところ、多くの投資家が第一の方法で価格差が狭まる事を想定するであろうが、もし市場の動きがその他のパターンに変わった場合、割安な方の銘柄を追随する投資家は塩漬け状態に陥ってしまう可能性が高まるだろう。

たとえ「滬港通」がスタートしても、AH価格差が全く無くなるわけではない。なぜなら、相互乗り合いするのは資金面のみで、株式自体が行き来する事はないからだ。つまり、A株・H株は引き続きそれぞれ独立したマーケットという事だ。また、両株式市場における法規や規制においても終始異なっている、加えて、「滬港通」開始後も両市場の投資家は引き続き材料に対する見解の相違を維持すると見られる。それゆえ、同一の企業の銘柄であっても、今後も引き続きA株・H株間で価格差が存在する可能性が大いにある。AH価格差の発生が企業のファンダメンタルによるものか否かは直接的関係は無い。長期的に見れば、価格差が要因となって株式市場のトレンドに影響を与えることは無いと言えよう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム

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