- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2025年8月4日]
長年にわたり、中国A株市場はおよそ2,500ポイントから3,500ポイントのレンジで膠着状態が続いており、なかなか本格的に突破することができなかった。しかし、ここ数ヶ月でこの構図に変化が生じ、指数は3,500ポイントの水準をしっかりと上回っている。市場の雰囲気も明らかに活気を帯びており、これは単なる一時的な値動きではない。この背後ではいくつかの重要な転換が進行している。
第一に、中国政府の株式市場に対する見方とアプローチが変化している。これまで、株式市場は企業が資金を調達するための場所と見なされ、投資家へのリターンについてはあまり重視されていないという感覚が強かった。だが、現在では政策の方向性に明確な変化が見られる。新たな施策では、投資家が利益を得られる市場の構築が重視されており、たとえば国有企業に対して株価パフォーマンスを意識させるよう促す一方、保険会社や年金基金といった長期資金が市場に入りやすい環境を整備し、企業の合併・再編手続きも簡素化されている。
より現実的な視点で見ると、企業全体の収益力がやや落ちている状況にもかかわらず、2024年における上場企業の現金配当が前年比で5%増加している。これは企業のキャッシュフローが改善しており、株主との利益分配に対する意欲が高まっていることを示している。こうした変化により、株式は「保有して配当を得る」対象としての魅力を増しており、主要銘柄の配当利回りはすでに国債の利回りを大きく上回っているものもある。安定した収益を求める長期資金が自然と市場に流入するのも無理はない。
第二に、株式市場における「主役」が交代している。これまではA株の上昇をけん引してきたのは、銀行や不動産といった大型株であった。しかし今回、先頭に立っているのは国防ハイテク、ソフトウェア、人工知能といったテクノロジー関連銘柄である。これらの分野は現在、新たな発展機会を迎えており、たとえば国家は自動運転技術の推進に注力し、明確な目標を打ち出している。市場で注目される投資テーマも、過去の住宅建設やインフラ建築から、AI、ロボット工学、スマートカーといった先端技術へとシフトしている。
同時に、一般投資家の参加意欲も回復してきており、彼らの新技術分野への関心が市場の取引を活性化させ、全体的なムードの改善につながっている。
最後に、内外の環境も追い風となっている。外部要因としては、いくつかの国際的な緊張が和らぎ、投資家の不安心理が後退したことが挙げられる。さらに米国が利下げに動く可能性や、人民元の上昇傾向なども相まって、A株からの外国資本流出の圧力が軽減されている。
一方内部要因としては、国内に目を向けると、一般家庭には多額の貯蓄が蓄積されており、それらの資金が新たな投資先を求めている。保険会社なども株式への投資比率を増やしており、不動産や高金利の理財商品といった他の投資手段が減少する中で、株式市場は有力な資金の受け皿となっている。
今後の展望として、今回の長年のレンジ突破は、A株が新たな局面に入ったことを示している可能性が高い。多くの専門機関は、市場の中心水準がすでに引き上げられており、今後も短期的な変動はあるにせよ、全体としては上昇トレンドを描く可能性があると見ている。
政策面では、資本市場の整備と投資価値の向上が明確な方針として打ち出されており、また産業面では、一定の調整期間を経て過剰な生産能力(たとえば一部の工業金属やリチウム電池素材など)が消化されつつある。さらにテクノロジー産業は依然として強い成長勢いを保っており、来年には上場企業全体の収益力が再び成長軌道に乗ると予想されている。
こうした政策の後押し、産業構造の転換、そして資金の流入という背景を踏まえると、投資家は近年よりも、A株の将来のパフォーマンスに対して楽観的な見方を持つことができるだろう。
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