香港株式市場に潜むリスク要因に注意

- テンガードホールディングスリミテッド

トップページ » スタッフコラム » 

スタッフコラム

香港株式市場に潜むリスク要因に注意

[2014年8月29日]

patrick_20140818

香港株式市場には「五窮六絕七翻身(5月に下がり始め、6月も続落し、7月に底打ち回復する)」という格言があるが、今年の香港市場は「五不窮,六不絕,七月更來個大翻身(5月に下がらず、6月も続伸、7月に大躍進)」という状態となり、年明けの低水準から計算すると、ハンセン指数の累積上昇幅は3000ポイントを上回っている。7月に入ると海外からの資金が大量に流入し、加えて香港の株式市場の7月のパフォーマンスは桁外れの伸びを見せ、最近では市場がすでに強気相場の第3期に突入していると指摘する分析が次々と見られる。多くの人々が香港へのホットマネー流入を「滬港通(上海香港・ストック・コネクト)」によるものだと見ているが、「滬港通」が香港株式市場に第3の強気相場をもたらすか否かについて、筆者は様子見の構えだ。なぜなら資金の多さは株式市場の相場を左右する要因の一つに過ぎないからだ。また、ホットマネーと株式市場は蜜月な関係には成り得ないため、大口投資家達が充分な利潤を蓄積したと見なした際には、ホットマネーは短期間で大挙をなして流出する可能性がある。

現在、香港株式市場の雰囲気は楽観的だが、今後の相場には政治と関連する多くの不確定要因が事実上潜んでおり、いずれも香港株式市場の投資雰囲気に十分影響を与える可能性がある要因だ。政治面では、全人代(中国全国人民代表大会、国会に相当)は、じきに香港政治の改革法案の骨組みを出すと見られており、全人代の決断によって香港で大型の政治問題発生を触発してしまう可能性は計り知れない。しかし投資家はくれぐれも政治面のリスクを過小評価しないようにすべきであろう。

経済面で見ると、香港の上半期の経済動力はやや弱化。小売市場の伸び悩みが続く影響で、下半期に経済が好転する可能性はまだ要観察。中国本土経済は近月安定した回復から香港経済を下支えていると見られるものの、中国本土は全力で改革を深めているため、中国本土経済の先行きには今なお下落リスクが存在する。このほか、米国は10月にも資産購入プログラムが終了となり、その後市場は米利上げ懸念を材料にする可能性がある。現在、香港の不動産価格は極めて高い水準となっており、利上げが不動産市場にもたらす圧力も軽視できない。

香港株式市場が第3の強気相場に突入しているか否かに関わらず、投資で最も重要なのは、トレンドの波に上手く乗ることである。もし市場において今後も「滬港通」が大きく好材料視されるならば、投機的な動きをしても差し支えないだろう。しかし相反して、リスク要因に市場の焦点が当たりだす際には、みな市場離脱の策略をとる事になろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム

Share on LinkedIn
Pocket

お知らせ

  • テンガードからのお知らせ
  • スタッフコラム
  • 株式市場関連
  • よくあるご質問
ダイヤモンド社発行『ダイヤモンドQキュー』にてテンガードが紹介されました!

証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。

香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。

香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。