オーストラリア、追加利下げの可能性

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オーストラリア、追加利下げの可能性

[2015年2月24日]

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ECB(欧州中央銀行)は3月からの量的緩和を発表、この決定はすぐさま世界各国に対し「放水」(金融緩和)の追随を誘発しており、その中にはオーストラリアも含まれる。以前に、中央銀行であるRBA(オーストラリア準備銀行)は政策金利を2.50%から2.25%へ引き下げたばかりだ。豪ドルは常々「高金利」を謳って来たことから、利下げの流れは豪ドルの魅力を損なわせることになろう。オーストラリアの利下げには二つの要因が考えられる。第一に、経済下落圧力の緩和ため、そして第二に、自国の競争力維持のためだ。

 

オーストラリアの1月の失業率は、12月と比べ0.3ポイント上昇の6.4%に。2002年8月来の最高水準となっており、12,200人もの雇用者減は、オーストラリア経済の弱化を表している。オーストラリアはコモディティの輸出大国で、鉱物の近年の主要輸出先は中国となっている。中国経済の弱化が続く状況では、オーストラリアの鉱物資源産業は否応なく圧力を受けてしまう。このほか、金月の原油価格暴落も足かせとなり、世界のコモディティ価格に現れた下落相場が、オーストラリアの鉱物資源産業にも波及しダメージを受けている。中国経済に好転の兆しが現れない限り、オーストラリアの鉱物資源産業は不振が続くと見られ、オーストラリア経済にはさらなる減速の可能性が存在していることがわかる。事実上、RBAはすでに現地経済に対する成長見通しを下方修正している。

 

ECBによる量的緩和決定を受けて、通過戦争が完全に勃発してしまったと言えよう。それぞれの主要通貨が価値下落を競い合うため、競争力を維持するには、オーストラリアは利下げに踏み切り豪ドルを下落させるしかない。つまり、もし豪ドル以外の通貨の価値下落が続いた場合、RBAが豪ドルの価値下落の継続を容認する可能性は大いにあるのだ。そうしなければ、弱化が見られるオーストラリア経済はこの先さらなる下落圧力を受ける事になろう。

 

現在の経済情勢を見ると、RBAがこの先利下げを行う可能性は非常に高い。だが、オーストラリアは今不動産市場が非常に好調で、ある分析によると、オーストラリアの現在の不動産価格は適正価格よりも5割高となっており、利下げは一段と不動産バブルを加熱させる可能性がある。経済下落に直面し、激化する通貨戦争や不動産バブルなどへの対応から、今後のRBAのタスクは極めて困難となるだろう。

 

 

 

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。) 

 

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