米利上げは時期尚早

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米利上げは時期尚早

[2015年7月8日]

A1先月の米FOMCを終え、イエレン氏は依然として利上げの方向性を示さなかった。しかし、イエレン氏の語調によると、米国の政策金利引上げへの切実性はある程度下がっているようだ。イエレン氏は、米国がいつ利上げとなるかは経済パフォーマンス次第であり、たとえ利上げになったとしても、スローペースだろうとしている。FRBは政策金利の年末見通しを0.625%で維持するとし、ある分析では、米国が今年中に利上げを二回実施できる時間的余裕が残されているとしているものの、FRB内の多くの委員は年内の利上げは一回のみにとどまるだろうと予想していることから、年内に利上げが二回となる可能性は低下しつつあり、FRBが利率の見通しを引き下げる可能性がある。

FRBがいつ利上げに踏み切るかは主に就業率にかかっている。イエレン氏は、労働市場における新規に増加した職位について、その多くがアルバイトや契約社員であると指摘しており、もし経済弱化に転ずれば、これらの仕事はすぐさま大量にカットされてしまうため、イエレン氏が労働市場の先行きに警戒心を抱いていることがわかる。つまり、たとえ非農業部門雇用者数が継続して大幅増加を見せていても、アルバイトや契約社員ばかりが大量に増加しているのであれば、イエレン氏が利上げをさらに遅らせる可能性が非常に高いと言えるだろう。またインフレも利上げの行方に影響を与えるもう一つの要因とされており、石油価格が安定してきたものの、米国の現在のインフレ率は依然として2%と中期目標を下回っており、インフレ圧力がさほど大きくない状況で、FRBにはまだ少し利上げをとどまる猶予が残されている。

米国がいつ利上げを実施するのかは依然として不明だ。しかし筆者は、利上げが必ずしも悪い事ではなく、また利上げしないこともまた良い事であるとは限らないと考えている。FRBがQEの収束を宣言してから、市場では米国がいつ利上げとなるか推測を始め、多くの人々がリーマンショック後初となる利上げが今年中に行われると見ている。市場ではすでに利上げ実施に対する十分な心理状態となっていることから、もしFRBが年内の利上げを実施しなかった場合、FRBに対する信頼力が疑問視されることになるだろう。このほか、利上げの実施は安定した経済発展を意味し、将来の成長が見込めるため、もし遅々として仕上げに踏み切らない場合、米国経済がもともと皆が想像していたほど理想的ではなかったことが反映されてしまうため、先行きに楽観が見込めないことで資産価値に対し圧力をもたらすことになるだろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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