- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2016年7月26日]
英国の「EU離脱」が世界的な政治経済の先行き不透明感を増加させ、投資リスクが上昇するなか、世界の主要株式市場では最近著しい好調が見られるだけでなく、英国「EU離脱」以前の高値にまで上昇している。中でも米国株が史上最高値をつけており、こういった現象は確実に人々に難解の念を抱かせている。事実上、政治経済における情勢の乱れが世界の至る所で起きており、これらの混乱がこの先株式市場の急落を触発するか否かは注目に値する。
まず英国に目をやると、英国新首相テリーザ・メイ氏は就任後すぐさま一連の難題を対処せねばならず、改めて英国社会を団結させるだけでなく、EUとの「離脱」交渉を展開していかなければならない。もしその過程で舵取りを誤れば、英国だけでなく、欧州全体も損失を受けることになろう。また、テロの脅威がすでに欧州に根を下ろしており、地縁政治リスクが欧州情勢の混乱を更に蔓延させている。
欧州以外では、大統領選も米国の政治情勢を不明瞭にしている。民主党は米国で8年間政権を握ってきたが、変化を望む国民情緒から、この先4年の米国は共和党統治となる可能性が高い。トランプ氏の言動は非常に「ずば抜けている」ため、トランプ氏が選挙に勝利すれば、懸念情緒が世界の金融市場に変動を起こす可能性がある。
経済プレートで見てみると、資金が過剰になる中、多くの主要国で国債利回りがマイナスへ引き下げられている。金利がマイナスであっても、債券は依然として高く評価されており、この現象は明らかに投資の常軌を逸脱している。国債の継続的な高評価は投資家のリスク許容度が高くない事を反映しており、株式市場の長期先行きに反落リスクがでてくると予想される。過去の教訓から私達が学んだ事として、債券利回りの動きは将来の経済パフォーマンスを反映しており、利回りの低下は世界経済にこの先下落リスクがある事を物語っている。もし経済が下落すれば、株式市場反落の可能性が生まれ、企業収益への圧力を増加させる要因となるだろう。
最近の世界の株式市場は、理解できない以上のようなリスク要因の中でパフォーマンスを上げており、筆者にサブプライム問題が起きた当時を思い起こさせる。サブプライム問題が勃発した当初、投資家は納得できないまま、結果的に2008年の金融危機に陥ってしまった。この点を考慮すれば、投資家は今後の動きに警戒心を持たなければならないだろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。