香港株相場、9月以降に波乱再発か

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香港株相場、9月以降に波乱再発か

[2016年8月23日]

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近日、多くの分析によると、香港ハンセン指数において50日移動平均線が250日線を上方突破し「ゴールデンクロス」が出現しているため、今後はテクニカルなプルバックの後に強い上昇相場が展開される見通しだ。トレンドについて論ずれば、香港株の最近のパフォーマンスは確かにすばらしいものの、単純に「ゴールデンクロス」の出現だけで今後の上昇相場を断定できるのかについては、筆者は慎重な見解を持っている。なぜなら世界の金融市場における様々な問題が未だに解決していないからだ。投資家が各リスク要因に焦点を戻していけば、香港の株式相場に大幅な調整が出る可能性がある。つまり、株式市場の短期的相場はリスク要因にかまわずとも、長期的相場はリスク要因の影響を見過ごすことはできないということだ。

主要中央銀行が議会を終えるにつれ、投資家は短期の新材料を得られず、ビッグ・ニュースが不足する中、株式市場は8月に残された期間を見ると比較的落ち着いた動きで推移する事になりそうだ。しかし、9月以降は、株式相場に波乱が再発する恐れがある。米国が少し前に市場予想を上回る雇用統計を発表しており、米利上げの動きへの注目を誘発する可能性が高まっている。米FRBは9月20・21日に利息協議を行う予定で、もし9月初めに発表される雇用統計が好調を維持していれば、日和見相場や米利上げ予想の高まりが株式市場の重石となるだろう。9月だけでなく、10月および11月にも注目するべき2大事件があるが、これらの事件の結果次第でも金融市場に変動を誘発する可能性がある。

イタリアでは10月に改憲是非を問う国民投票を実施する予定だが、憲法改正案が否決されれば、イタリアの政治情勢は不安定となり、「EU離脱」勢力が更に拡大するだろう。イタリアの国民投票後、世界の焦点は11月初めに行われる米大統領選へと移り変わっていくはずだ。世論調査では現時点でヒラリー氏のリードを示しているものの、民衆心理は変化を望んでいることから、最終的にトランプ氏が勝利を収める可能性もあるだろう。起こりうるであろう「ブラック・スワン」(誰しも予想しなかった危機的現象)に、投資家は絶対に油断ならない状況だ。事実上、大統領選を待つまでもなく、この先の世論調査においてトランプ氏のリードが示されてしまうだけでも、金融市場は材料視して利食い売りに動くだろう。こうして見ると、株式市場が現状落ち着いているのはあくまで嵐の前の静けさなのではないだろうか。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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